高齢者の口腔ケアの大切さと正しいケア方法
「お口は健康の入り口」と言われるように、食べる力、話す力、飲み込む力などの口腔機能の維持は生きる上でとても重要です。
そのため加齢によりこの口腔機能が衰えると、口腔ケアを行うことがより一層大切になってきます。
本記事では加齢に伴う口腔機能の変化、口腔ケアを行うことの大切さ、口腔ケアの方法という3つのカテゴリを解説し、正しいケアが介護予防や生活の質の向上にもつながるということもお伝えしたいと思います。口腔内の状態が気になる方や、ご家族にそのような心配がある方もぜひ参考にしてみてください。
加齢による口腔内の変化
高齢者によくみられる口腔内の変化には、下記のような傾向があります。
自浄作用の低下
唾液には歯の表面や舌、粘膜に付いた汚れ、細菌を洗い流す自浄作用の働きがあります。
しかし加齢によって唾液の分泌量が低下すると、その作用は低下します。
自浄作用が低下すると、味覚を感じる器官にまでも影響がおよぶ危険性があります。
虫歯や歯周病になりやすい
歯茎は加齢に伴って垂れ下がっていきます。
すると歯の根元と歯茎の間に隙間が空き、歯周病や虫歯になりやすくなります。
また、入れ歯があると、入れ歯と歯肉の間に食べカスがたまりやすく、詰め物の下で虫歯になりやすいです。
そして歯茎が退縮したところに歯垢、歯石がたまり、入れ歯が当たる刺激などがあると炎症が起きやすくなります。
口腔内の乾燥が起こりやすい
加齢によって噛む力が低下し唾液の分泌量が減ると、口腔内の乾燥が起こりやすくなります。
口腔内が乾燥すると口腔内を清潔に保てず、虫歯や歯周病を誘発します。
口腔ケアの大切さ
きちんとした口腔ケアで、正常な唾液分泌量や口腔内筋肉量が維持されていると、下記のように様々なメリットがあります。
虫歯、歯周病予防
正しい口腔ケアで唾液の自浄作用が保たれることにより、虫歯や歯周病の予防効果が期待できます。
誤嚥性肺炎の予防
食べ物や飲み物が口腔内の細菌と一緒に気道に入り、肺が炎症を起こすことを誤嚥性肺炎といいますが、口腔ケアをしていれば噛む力や飲み込む力を維持できるためこうした誤嚥性肺炎の予防にもなります。
噛む力の維持で介護予防
しっかり噛んで食べるようになると栄養の吸収がよくなり、体力や免疫力の低下を防止します。
またメリットはそれだけではありません。咀嚼により得られる効果を仕組みとともに解説します。
- しっかり噛むことで、色々な食品をバランスよく摂取できるようになります。
- 唾液の分泌が促進されることで、消化を助ける働きをします。
- 唾液中の酵素の働きで、食べ物のおいしさを味わうことができます。
- 唾液が発音を滑らかにすることで、口腔内の筋肉がしっかり動いて言葉をはっきりと話せるようになります。
- これらの作用は心身にもよい影響を与え、脳の活性化や運動機能の向上にもつながって、表情が豊かになります。
上記のように、口腔ケアは総じて介護予防に通じるというわけです。
正しいケア方法
ここからは、より効果的で正しい口腔ケア方法について紹介してまいります。
歯みがき
歯みがきは、口腔ケアの基本です。毎食後に必ず歯みがきを行うようにしましょう。歯茎を傷つけないよう軽い力で磨くのがポイントです。
入れ歯は外して奥歯、歯と歯の間、歯と歯茎の間など汚れがたまりやすい部分もよく磨きましょう。そして入れ歯は凹凸が多く、ぬめりや汚れが残りやすいです。専用のブラシで磨き、その後は入れ歯洗浄剤に浸けましょう。
うがい
うがいも口腔機能を保つのに有効な働きをします。「ブクブク」「ガラガラ」するうがいを繰り返すことで、舌の奥の筋肉と飲み込む際の筋肉が自然と鍛えられるのが特徴です。
ただし、誤嚥の危険性がある方が無理して行うのは避けてください。
口腔内の乾燥を防ぐためにできること
唾液の分泌を促し、乾燥を防ぐことの大切さは前述したとおりです。
それでは具体的に唾液の分泌量を増やす方法は何があるかというと、下記の通りです。
- まず食事はよく噛んで食べる。
- 梅干しや昆布、納豆など唾液が出やすい食べ物を選ぶ。
- こまめに水分を取る。
- カフェイン入りの飲み物は利尿作用があり水分が体内に保持できないので、ノンカフェインの飲み物を選ぶ。
- 室温は20〜25℃、湿度は40〜60%に保ち、口を閉じて鼻呼吸を行うことを心がける。
これらが難しい場合は、口腔保湿剤もあるので試してみてくださいね。
まとめ
高齢者の口腔内の変化や口腔ケアの大切さ、口腔ケアの方法についてご紹介しました。加齢により唾液の分泌量が減ると自浄作用が低下し、虫歯や歯周病の原因になるので注意しましょう。
そして適切な方法で行う口腔ケアは、おのずと介護予防にもつながります。
ご家族やご自身の介護予防を意識しながらも、介護に関して不明点のある方、ご自身で解決できないお悩みをお持ちという方は、東海市の東海レーベンまでお気軽にご相談をお待ちしています。