肺炎の危険も!2大リスク「誤嚥性肺炎」と「窒息」

高齢者に多い症状で「誤嚥」があります。 

食事中に起こることも多く窒息のイメージが強いですが、実はその後ろには「誤嚥性肺炎」という病気が控えているのです。 

高齢者が誤嚥しやすい理由と、日頃どんなことに気をつければ良いかをまとめました。 

 

誤嚥とは?高齢者が誤嚥を起こしやすい理由 

食べ物ではない物を誤って飲み込んでしまう誤飲(ごいん)と違い、誤嚥(ごえん)は食べ物を飲み込む時、何らかの理由で食道ではなく気管に入ってしまう症状です。 

高齢者の誤嚥は食べるために必要な機能の衰えが原因で起こります。 

具体的には加齢により歯を失うと上手く噛み砕けなくなり、また唾液の分泌量が減るので口の中で食べ物がまとまりにくくなります。 

さらに飲み込む時、のどを動かす筋肉の力が低下しているために食べ物が途中で止まってしまい、のどを詰まらせてしまうのです。 

その他高齢者の誤嚥で多いのは寝ている間に口に溜まった唾液や胃の内容物が逆流して器官に入り起こる「不顕性誤嚥」があります。 

 

窒息だけじゃない!誤嚥で起こる症状 

高齢者がお餅をのどに詰まらせて窒息したり、小さい子がお菓子やおもちゃを誤飲した等のニュースを耳にしたことがあると思います。 

このように誤嚥(誤飲)は窒息と直結しますが、高齢者の誤嚥は単なる窒息の危険だけではありません。 

ここでは誤嚥で起こる2大リスク「窒息」と「誤嚥性肺炎」についてお話します。 

 

・窒息 

高齢者の誤嚥による窒息は、高齢者の不慮の事故による人口10万人あたりの死亡者数では交通事故を抑えて最も多く、珍しいことではありません(平成28年消費者庁調べ)。 

誤嚥によって起こる窒息は加齢による嚥下機能の衰えで、肉や餅など噛み応えや粘着力のある食物がのどに詰まり起こります。 

特に脳閉塞や神経疾患の持病のある高齢者は嚥下運動が低下し誤嚥が起こりやすく、また認知症患者が義歯や薬の包装容器ごと飲み込んでしまう誤飲での窒息も多く報告されています。 

 

・誤嚥性肺炎 

肺炎が高齢者の死因の上位なのは皆さんもよくご存知だと思いますが、その多くは誤嚥による「誤嚥性肺炎」です。 

食べ物を誤嚥すると通常咳き込んで反射的に気管から食物を出そうとしますが、高齢になると機能低下により排出できず、残った食物が炎症を起こし肺炎を発症することがあります。 

その他、口の中の細菌が自覚のないまま気管や肺に入り込む不顕性誤嚥で肺炎を発症することも多くあります。 

高齢者は免疫力が低く肺炎を起こしやすいので注意が必要です。 

 

【誤嚥のサインをキャッチ】誤嚥の5つの兆候 

高齢の方に次のような兆候が見られたら誤嚥の可能性があります。 

咳き込むなどの症状を伴わない誤嚥もあり気づきにくいですが、まわりの人の心配りで誤嚥を防ぐことは可能です。 

ぜひ参考にしてみてください。 

  

・食事中に咳き込む回数が多くなる 

食事中咳き込むのは、食べ物を上手く飲み込めず気管に入り込んでいるサインです。 

咳き込むのは食べ物を気管から出す反射機能なので、上手に排出できるように背中をさするなどサポートしてあげてください。 

 

・食事にかかる時間が長くなる 

噛むのに時間がかかったり上手に飲み込めなくなると、食事にかかる時間が長くなります。 

あまりにも時間がかかるようなら献立を見直し、食べやすいものにして様子をみましょう。 

  

・食が細くなる 

上手く飲み込めなくなると食事そのものが苦痛になり食への興味が薄れ、食が細くなります。 

栄養不足になり別の病気を発症する可能性もあるので、食べやすい献立に変更して栄養を摂取できるようにしてみてください。 

  

・頻繁に発熱する 

誤嚥の症状のひとつに発熱があります。 

高熱が続くようなら肺炎の可能性もあるので、日々のこまめな体調のチェックが大切です。  

 

誤嚥を起こさないために気をつけることは? 

誤嚥を起こさないよう、どのようなことに気をつければよいかをまとめました。  

  

・飲み込みやすいよう姿勢よく食事する 

食べ物をスムーズにのどを通すには姿勢も大事です。 

食事の時は背筋を伸ばしてできるだけまっすぐな姿勢を心がけましょう。 

 

・よく噛むよう意識づける 

誤嚥の多くはよく噛んで食べることで防ぐことができるといわれています。 

落ち着いてゆっくり、よく噛んで食べましょう。 

  

・一口の量に気をつける 

よく噛むのと同様に一口の量を調整すればさらに飲み込みやすくなります。 

一度にたくさん口に食べ物を入れないよう少しずつにしてみましょう。 

 

・食物にとろみをつける 

献立の見直しも助けになります。 

ですが離乳食のような料理では食べる意欲が下がってしまうので、形をなくしすぎない工夫が大切です。 

片栗粉でとろみをつけると飲み込みやすいのでおすすめです。 

 

・オーラルケアで口の中を清潔に保つ 

誤嚥性肺炎は口の中の菌が気管に入り込むのが大きな原因です。 

食後は必ず歯磨きして口の中を生活に保つよう心がけましょう。 

 

まとめ 

高齢者の誤嚥は食事中だけでなく寝ている間にも起こる場合もあり、症状に気づきにくいのですがまわりの人の日々の気配りで重篤な状態を未然に防ぐことができます。 

ゆっくりよく噛んで食べて、お口の中を清潔に保つのが大切です。 

そしてまわりの方は少し大変かもしれませんが食事の献立を工夫してもらい、日々の体調チェックをよりこまめにすることで誤嚥による肺炎のリスクをかなり軽減できると思います。 

東海市の東海レーベンは高齢者介護において経験豊富なスタッフも多数在籍しておりますので、誤嚥予防のアドバイスもさせていただきます。 

その方にあったケアの方法をご家族と一緒に考えさせていただきますので、高齢者の誤嚥についてもっと詳しく知りたいという方もお気軽にご相談ください。 

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