サルコペニアを理解して予防しよう
サルコペニアという言葉をご存じでしょうか。
身近にご高齢の方がいらっしゃるなら「なんとなく高齢者の症状なんだろう」「フレイルと同じようなもの?」と思われてる方もいらっしゃるでしょう。
今回はサルコペニアの症状やフレイルとの違い、予防方法などについてお話しします。
サルコペニアの概念
人の筋肉量は40歳頃から減少傾向が現れ、以降生涯続いていきます。
サルコペニアとは、加齢による筋肉量の減少が日常生活に支障をきたすほど顕著な状態を指します。
放っておくと介護状態になる可能性が高く、65歳以上の約20%の人がサルコペニアとも言われています。
サルコペニアは加齢が原因とされる一次性サルコペニアと、栄養不足や運動不足、疾患など加齢以外が原因である二次性サルコペニアに分類されます。
今やサルコペニアは高齢者だけの現象ではなく、若年層の二次性サルコペニア予備軍も危惧されています。
サルコペニアとフレイルとの違いは?
「高齢者の筋力が弱っている状態」と聞いて、フレイルを思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
サルコペニアとフレイルは一見すると似ていますが、フレイルは筋力の低下だけでなく社会性や認知機能の低下も含まれた「高齢者の虚弱状態」を意味します。
簡単に言えば、フレイルの中にサルコペニアが含まれているようなイメージです。
サルコペニアはフレイル進行の大きな原因になりうるとも言われています。
死亡率の上昇も懸念!サルコペニアが疾患悪化の原因に!
サルコペニア自体には命に関わる症状はないにしても疾患の悪化に影響すると考えられています。
さらには死亡率が上昇することも最近ではわかってきました。
<一例>
転倒・骨折
骨粗鬆症
糖尿病
肺炎
認知症 など
サルコペニアの主な症状とは
サルコペニアが進行すると、日常生活の動作に支障をきたします。
年齢を重ね、次のような症状が気になるときは、一度かかりつけ医や担当のケアマネージャーさんなど専門家に相談してみましょう。
・立ち上がる動作がスムーズにできない
・しょっちゅう躓くようになった
・歩くのが遅くなった(信号が変わるまでに道を渡りきれない)
・階段が怖い
・握力の低下(ペットボトルが開けられない、ドアノブを回しにくい)
・手足が細くなった
・重い荷物を持てない
サルコペニアの予防には運動と食事
サルコペニア予防として、効果的なのは筋力の衰えを防ぎ、今以上低下させないことです。
筋力は歳を取っても運動と食事である程度改善や予防が期待できますので、ぜひ予防する意識を高めましょう。
・運動
運動は筋肉に負荷をかけながら繰り返す「レジスタンス運動」が効果的です。
軽い負荷でも効果があるのでぜひ続けてみてください。
例えばテレビを見ながらたまに立ち上がってゆっくり屈伸したり、腕を回したり「座りっぱなしにならない」ように心がけてみましょう。
テレビを見ながら、ラジオ体操をするのもいいですね。
「運動するぞ」と構える必要はなく、何かのついでにやるくらいの軽い気持ちで取り組むことが続けるコツです。
散歩も効果的ですが、歩くのが辛いのであればまずは日光浴を取り入れてみましょう。
筋力低下の要因のひとつにビタミンDの不足がありますが、日光を浴びると体内でビタミンDの生成が促進されるため、筋力低下の予防に効果が期待できます。
ビタミンDは骨粗鬆症の予防にも効果があります。
紫外線には注意しながら、陽の光を浴びて外の空気を吸って、リフレッシュしてみてください。
・食事
最近テレビなどで元気な高齢者が、毎日お肉を召し上がっている様子をみたことはありませんか?
赤身肉や鶏ささみなど動物性たんぱく質は筋肉の維持には欠かせません。
たんぱく質以外にも、骨粗鬆症予防にも効果のあるビタミンDも合わせて摂取するとより効果的です。
食事はバランスが大切ですのでたんぱく質とビタミンDを意識しつつ、バランス良い献立を心がけましょう。
<食材の一例>
たんぱく質を多く含む食材
・鶏肉(むね・ささみ)
・豚肉(ひれ・もも)
・牛肉(もも)
・かつお
・まぐろ
・鮭
・卵
・チーズ
・納豆 など
ビタミンDを多く含む食品
・鮭
・さんま
・しらす
・いわし
・干し椎茸
・舞茸
・厚揚げ など
まとめ
このようにサルコペニアはさまざまな疾患の悪化の引き金になる可能性が高く、フレイル状態への入口になるかもしれません。
そして高齢者だけでなく、若年層のサルコペニアもあるので注意が必要です。
高齢になると体調は日1日と変化します。
少しでも長く自分の力で日常生活を送ることができるよう、サルコペニアを予防しましょう。
私ども東海市の東海レーベンでは各利用者様お一人おひとりにあった介護のあり方を、ご本人様、ご家族のみなさんに寄り添い、考え、ご提案させていただいております。
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