高齢者の免許返納のタイミング・話し合いのすすめ方

今や社会問題である高齢者の運転事故。 

運転免許の自主返納にご本人がなかなか応じてくれないという話を耳にします。 

どのようにすすめていけば良いのでしょうか? 

 

今回は、免許返納についてのお話です。 

高齢者の運転事故は、年々増加傾向にあります。 

近年、高齢者の運転免許返納の重要性が身近な話題になっています。 

 

内閣府の調べでは、70歳以上高齢者の運転免許保有者は2019年には約1,195万人で、運転免許保有者の約14.5%を占めます。 

運転免許保有者の高齢化は増加傾向にあり、高齢者の運転事故も増加傾向です。 

 

高齢者の免許返納の目安は? 

警視庁のデータによると、令和3年の運転免許返納の平均年齢は73.7歳です。 

 

高齢者の免許返納のタイミングを年齢で決めることは難しいですが、運転能力の低下がひとつの基準になります。 

 

以下のような兆候が見られたら、免許返納を考える時期です。 

 

・ウインカーの出し忘れ、左右出し間違い 

・一旦停止の見落とし 

・歩行者や自転車、他の車の見落とし 

・車庫入れが以前より時間がかかる 

・車体に覚えのない傷・へこみが増えた 

・キーの保管場所を忘れる 

・生活圏内で道に迷う 

 

免許返納のメリット・デメリット 

高齢者が運転免許証を返納して一番困るのは「生活の足」で、特に交通網が発達していない地域に行けば行くほど深刻な問題です。 

 

以下に免許返納のメリット・デメリットをまとめました。 

 

【免許返納のメリット】 

・事故のリスクが減る 

・公共交通機関や買物・施設での割引 

・車検、維持費がかからない 

・運動習慣が身に付く(駅まで歩くなど) 

 

【免許返納のデメリット】 

・買い物や病院に気軽に出かけにくくなる 

・家族の送迎の負担が増える 

・運転しないことで痴呆が進む場合も 

 

免許返納をご本人へ切り出すには? 

「自分の親も早く免許返納して欲しい」と思うものの、本人にどのように切り出せばいいのかと悩んでいる人も多いのではないでしょうか。 

高齢者ご本人も事故のリスクを理解していても、いざ免許返納を切り出されると「自分はまだ大丈夫」「年寄り扱いをするな」怒って聞いてくれないなんてこともあります。 

「みんなが心配しているんだよ!」と言う気持ちをわかってもらうにはどうしたらよいでしょうか。 

 

①家族会議 

ご本人の性格、どのように話せば傷つかないか、また免許返納後のご本人の生活(買い物や病院などの行き方)についてみんなでよく話し合いましょう。 

 

②「フィーリング・グッド」効果を利用 

意外と大事なのは話し合う時間帯です。 

空腹時はイライラして怒ってしまうこともあるので避け、心地よい気持ちで話ができる環境を整えましょう。 

 

③強制せず免許返納の必要性をきちんと説明 

本人のことを第一に考えて、免許返納を勧めているんだとわかってもらえるようつとめましょう。 

頭ごなしに強制せず免許返納の必要性を説明し、メリット・デメリットをきちんと話すべきです。 

「返納するのやめようかな」と思えるような条件も正直に話しましょう。 

 

④「頭の上がらない人」や経験者に話してもらう 

家族の説得では聞いてくれない時は「あの人に言われるならそうするしかない」という関係性の人や、主治医の先生に話してもらうのも手です。 

誰しも専門的な知識を持つ人の言うことは説得力があると思うので「先生に言われたなら」と聞いてくれるかもしれません。 

その他、周りに免許返納された人がいるのであれば、「○○さんも返納したらしいよ」と例に出したり、可能ならぜひその方に話してもらいましょう。 

 

免許返納方法 

70歳以降の免許更新は複雑です。 

免許の更新は70歳以上になると「高齢者講習」、さらに75歳以上になると「認知機能検査」が必須です。 

これらの検査には費用も時間もかかり、全てクリアしなければ免許は更新できません。 

少しでも不安に感じるのであれば、運転免許の自主返納を考えた方が良いでしょう。 

 

免許返納の手続きは、警察署または運転免許センターで行います。 

運転免許証と印鑑を持参し「運転免許取消申請書」を記入します(無料)。 

身分証になる「運転経歴証明書」も交付してもらえます。 

こちらは顔写真が必要で費用もかかりますので注意してください。 

当日手続きし忘れても、後日申請可能です。 

 

・運転経歴証明書交付申請書(窓口で取得可能) 

・返納する運転免許証 

・顔写真(縦3cm×2.4cm1 

・手数料1,100 

 

免許返納後のサービス 

運転免許を返納すると各所でさまざまなサービスが受けられます。 

各自治体で異なるので、お住まいの地域でどのようなサービスが受けられるか調べてみましょう。 

 

<愛知県東海市の例> 

【東海市高齢者運転免許証自主返納推進事業】 

<対象者> 

東海市民で満65歳以上の方 

・有効期限内のすべての運転免許証を自主返納された方 

 

<贈答品> 

65歳以上75歳未満の方 

らんらんバス特別乗車証(令和241日から) 

※らんらんバスに乗車の際、乗務員に特別乗車証を提示すると無料で乗車できます。 

・75歳以上の方タクシー料金助成券(2,000円分) 

 

<『運転経歴証明書』を提示すると特典が受けられる> 

詳しくは下記リンクをご覧ください 

東海市 

http://www.city.tokai.aichi.jp/9362.htm 

http://www.city.tokai.aichi.jp/secure/19008/panf.pdf 

 

まとめ 

高齢者に免許返納を説得する時は、タイミングや状況をよく考えて切り出すことが大切です。 

免許を返納後は車がなくても生活できる術を整える必要があります。 

まずはお住まいの自治体のサービスを把握しましょう。 

その他家族が交代で送迎を担当したり、ネットスーパーなど宅配サービスの利用を検討するのも手です。 

家族みんなで問題を共有することで絆が強くなるのではないでしょうか。 

このような問題も、東海市の「東海レーベン」では経験豊かなスタッフが皆さんと一緒になって考えアドバイスさせていただきますので、ぜひお気軽にご相談くださいね。 

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