誤嚥性肺炎について 原因と予防

高齢者に多い誤嚥性肺炎 

高齢化社会により、肺炎で亡くなる人が増加しており、肺炎は日本人の死因の第3位となっています。 

肺炎で亡くなる人のほとんどは65歳以上の高齢者で、その多くが誤嚥性(ごえん)肺炎が原因と言われています。 

特に85歳を超えると誤嚥性肺炎の発症が多くなる傾向にあります。 

高齢者はわずかな誤嚥が重篤な肺炎や呼吸器疾患につながりやすいため、誤嚥性肺炎に関して周囲の人が十分に注意しておく必要があります。 

 

誤嚥性肺炎とは 

物を飲み込むことを嚥下(えんげ)と言います。 

口から食道へと入る食べ物や唾液が、誤って気管に入ってしまうことを誤嚥(ごえん)と呼びます。 

口の中の細菌が、食べ物などと一緒に誤嚥され、気管支や肺に入ることで生じるのが誤嚥性肺炎です。 

嚥下機能の低下した高齢者や、脳梗塞の後遺症・パーキンソン病などの神経疾患を抱えている患者や寝たきりの患者に多く発生します。 

高齢者では肺炎の典型的な症状(発熱、咳、痰)が出ず、何となく元気や食欲がないといった症状で発症することが多いのが特徴です。 

食事時間が長くなった、食後に疲れてぐったりする、口の中に食べ物を溜め込んで飲み込まないなど、肺炎と無関係と思える症状でも、よく調べると肺炎であったということがあります。 

誤嚥を起こしやすいのは食事の時ですが、高齢者の場合、食事摂取やむせる症状とは関係ないこともあります。 

異物が気道に入った時に咳で排除する反射機能が低下しており、睡眠中など知らないうちに唾液が気管や肺へ流れこみ、いつの間にか誤嚥を繰り返す不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)も特徴的です。 

 

誤嚥性肺炎の原因 

誤嚥性肺炎の多くは、口の中の細菌が原因で起こります。 

口の中が清潔に保たれていないと、肺炎の原因となる細菌がより多く増殖し、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。 

また、嘔吐などの際に、嘔吐物を誤嚥して発症する場合もあります。 

 

誤嚥性肺炎の治療 

肺炎を起こした細菌に対して有効な抗菌薬による治療を行います。 

一般的に、食事や飲水によって誤嚥が発生しやすいため、誤嚥性肺炎と診断されたら一旦飲食を禁止して治療を行います。 

そのため体力や栄養状態の低下が生じやすくなります。 

一度誤嚥性肺炎を起こすと、気道粘膜が完全に回復せず、粘膜の感覚が鈍くなってしまい、誤嚥しても咳が起こりにくくなることで肺炎のリスクが高まるという悪循環が起こります。このように再発を繰り返しやすく、抗菌薬治療を繰り返すことにより、抗菌薬への耐性菌が発生し、体力の低下や呼吸状態の悪化が発生することもあります。 

 

誤嚥性肺炎の予防 

抗菌薬による治療は肺炎自体には効果がありますが、誤嚥を防ぐことはできません。誤嚥性肺炎のリスクを減らす対策が必要です。 

 

【誤嚥のリスクを減らす

食事内容の工夫 

柔らかく煮る、細かく刻む、押しつぶす、ひと口大に切る、とろみをつけるなど、食事形態の工夫をしましょう。 

また、口腔内の乾燥や脱水状態を防ぐため、1日にコップ5~6杯程度の水分補給を心がけるのも有効です 

 

食事の仕方 

椅子に深く腰掛け背筋をまっすぐにし、顎を引く姿勢をとりましょう。 

そして、ひと口を少なめにして、よく噛んでゆっくり食べましょう。 

 

食事に集中する 

会話しながらやテレビを見ながら等を避け、食事に集中しましょう 

 

胃液の逆流を防ぐ 

ゲップや胸やけなどがある場合は、胃液の逆流が起こりえます。 

その場合、食後2時間は横にならず、身体を起こした姿勢をとりましょう 

 

嚥下機能を改善する 

噛む力や飲み込みの機能を維持向上させるためのトレーニングを行い、嚥下機能の改善をはかりましょう。 

 

<簡単な嚥下体操> 

簡単な体操を行うことによって、口・舌・頬などの筋肉を刺激し、唾液の分泌を促し、飲み込みにくさやむせ返りの軽減をはかることができます。 

 

  • 舌を動かす体操

舌を上下に出したり引っ込めたりする。次に舌を左右の口角に触れるくらい動かす。いずれもゆっくり3回ほど繰り返す。 

舌で左右の頬を内側から押す。 

 

  • 首・のどの体操

首をゆっくり左右に倒したり、回したりする。(後ろへは回しすぎないように注意。)その後に、唾液をごくんと飲み込んでみる。 

口を閉じて、唾を飲み込む動作(「ごくん」の途中)を3秒間キープする。 

 

【感染のリスクを減らす

口腔の清潔を保つ 

歯みがき・うがいなどをしっかり行いましょう。口の中を清潔にすることで細菌の繁殖を防ぎ、誤嚥時の肺炎の発生を減らすことができます。特に起床後、食後は口腔ケアを行い、定期的に歯科検診も受けましょう。 

 

薬を用いる 

誤嚥性肺炎の再発予防に脳梗塞予防薬が有効とされ、用いられることがあります。 

 

普段から免疫力を高めておく 

十分な睡眠をとる、換気をする、冬は暖かくして過ごす、栄養バランスの良い食事をとるなどの生活習慣で、免疫力を高めることができます。このように、細菌やウイルスと戦う力を備えておくことも、誤嚥性肺炎の発症予防には重要です。 

 

誤嚥性肺炎でお困りなら東海レーベン 

誤嚥は、高齢者には皆起こりうる老化現象とも考えられます。 

いずれはご家族・ご自身に起こりうる問題として、少しでも誤嚥性肺炎を理解し、予防に努めることが重要です。 

誤嚥しないように工夫しながら、おいしく楽しく食事をとり、毎日を元気に過ごしたいですね。 

もし、これは誤嚥性肺炎だろうか?と不安を持ったりお悩みの方は、東海市の東海レーベンまでご相談ください。 

誤嚥性肺炎は日頃のケアが重要になります。ケアマネージャーが的確なプランを計画し、理学療法士が適切な運動療法を行います。 

一人で抱え込まず、いつでもご相談ください。 

いつまでもおいしい食事を楽しみたい方は、是非東海市の東海レーベンへご相談ください。 

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