「フレイル」とは?知れば高齢者の健康寿命向上に役立つ

「フレイル」という言葉をご存知ですか? 

高齢のご家族がいらっしゃる方は、ご家族がフレイルチェックを受けた方もいらっしゃるのでは?と思います。 

でも「ご家族がフレイルチェックを受けたけど、これで何がわかるの?」と疑問に思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか。 

そこで今回は「フレイル」についてのお話です。 

 

フレイルの定義 

フレイルとは英語で「虚弱」を意味する「Frailty(フレイルティ)」が語源になっています。 

目に見えた疾病ではなく加齢によって心身が衰えた状態で、主に健常から要介護の間の状態を意味し、高齢者が要介護に陥る要因の多くはフレイルから要介護に移行すると考えられています。 

フレイルは早期に発見し適切な支援を受ければ健常な状態に戻ることが期待できるため、要介護状態を防ぐ鍵になります。 

そのため「高齢者の生活機能の維持・向上」を目的として、日本老年医学会が2014年に「フレイル」という概念を提唱し、普及に努めてきました。 

今では要介護状態を未然に防ぐことができる指針として、2020年より各自治体で実施している後期高齢者医療制度で行われる健康診査でフレイルチェック(後期高齢者の質問票)が導入されています。 

 

フレイルの評価基準 

フレイルかどうかの評価基準は国立研究開発法人 国立長寿医療研究センターがJ-CHS基準を改訂した日本語版が採用されています。 

また、2006年から厚生労働省の基本チェックリストがフレイルチェックに活用されています。 

25項目で構成されていて身体・社会・精神の衰えまでチェックできます。 

 

No.チェックの目的フレイルの可能性がある点数 

1~20 日常生活全般 10点以上 

6~10 運動器の機能 3点以上 

11~12 栄養状態 11が「はい」で、12のBMIが18.5未満の人 

13~15 口腔機能 2点以上 

16~17 社会的交流 16が「いいえ」の人(17も「はい」の人は要注意) 

18~20 認知機能 1点以上 

21~25 心理(抑うつ)状態 2点以上 

 

出典:厚生労働省「介護予防のための生活機能評価に関するマニュアル(改訂版)」  

https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/05/dl/tp0501-1c.pdf 

 

 

「フレイルサイクル」に注意!フレイルが進行する原因は? 

フレイルになる原因は主に次の3つとされています。 

 

・身体的要因 

加齢により筋力(運動能力)が低下すると出かけるのが億劫になり、結果ますます運動能力が落ちてしまいます。 

また口腔機能も低下するのでうまく食べることができず食に対する意欲も低下することも。 

その結果栄養不足になり体重も減るなどの症状がみられます。 

 

・精神・心理的要因 

高齢者は体力とともに精神的にも滅入ってしまい衰弱してしまいがちです。 

気力が湧かない日々が続くと鬱状態や、認知症を発症することもあります。 

身体的要因に比べ見た目ではわかりにくいので周りの人の注意が必要です。 

 

・社会的要因 

家にいる時間が長くなると社会との関わりが減り、他者との関わりを持たなくなってしまうという、社会的要因もフレイルを進行させる要因として挙げられます。 

 

これら3つの要因が連鎖しループする「フレイルサイクル」の危険性が指摘されています。 

フレイルを予防する4つの心がけ 

フレイルは日々のちょっとした心がけで予防することができます。 

 

・身体の状態を把握して体調を維持 

高齢者が持病を1つや2つ持っているのは仕方のないことですが、身体の状態を知って持病をコントロールし、できる範囲で活動的に過ごしていきましょう。 

ただし高齢者は免疫力も低下しているので風邪やインフルエンザなどの感染症にも注意が必要です。 

 

・無理のない程度に運動する 

フレイルに限らずですが、適度な運動は健康を保つ上でとても重要です。 

筋力が低下すると歩行走度が落ちるため出かけるのが億劫になり、それが閉じこもってしまう原因にもなります。 

ゆっくりと家の周りを散歩するなど、無理なくできる範囲で体を動かしましょう。 

 

・おいしく食べるためにはオーラルケアも重要 

ただでさえ歳を取ると食が細くなりますが、栄養不足はフレイルにとって大敵です。 

おいしく食べるために大切なのは「歯の健康」。 

加齢により歯が抜けるなど、歯の状態が悪いと噛むことが億劫になり食べることへの意欲を失います。 

また、加齢とともに飲み込む力(嚥下機能)が低下するため、よく噛めるように歯の状態を整えることが大切です。 

 

・閉じこもらず社会との関わりを持つ 

高齢になると歩くのが辛くなり家に閉じこもりがちな人もいるでしょう。 

そうすると気力も減退し社会との関わりが薄くなり、ますます気持ちの張りがなくなります。 

できるだけ社会との関わりを絶たないようにしましょう。 

趣味の集まりに行く、ボランティアに参加する、やってみたかったことにチャレンジしてみるなど、本人の興味のあることを楽しめるのが理想的です。 

フレイルチェックの結果を活用して要介護を予防 

このようにフレイルチェックは高齢者の要介護状態を未然に防ぐのに役立てることができます。 

 

高齢者が1日でも長く自分の力で健康的な日々を過ごせるよう、ぜひフレイルチェックの結果を活用してフレイル予防を実行してみてください。 

特に高齢のご家族とお住まいの方、最近ご家族の様子でお困りごとはありませんか? 

 

「以前できていたことができない」 

「物忘れがひどくなってきているのでは?」 

 

など何か少しでも気になる時は、お気軽に東海市の東海レーベンへご相談ください。 

経験豊富なスタッフが皆様に寄り添い、一緒に悩み考え笑顔になれるよう努力させていただきます。 

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