高齢者の水分摂取の工夫と注意点
人間の体内における水分量は高齢者の場合、約50%を占めています。
体内の水分量に適切な水分摂取は、酸素や栄養などを体内に循環させ、老廃物を排出し、体温調節するために必要なことです。
特に高齢者の場合、体温調節機能の衰えや、水分を蓄えるための筋肉量の減少、腎機能の低下による尿量の変化などがあり、水分を適切に摂取する必要性があります。
今回は高齢者に適切な水分摂取を促す方法や、注意点などについてご紹介します。
高齢者の水分摂取をケアする必要性とは
高齢になると、体の感覚が鈍くなり喉の渇きなどの体内の水分不足の状態を自分で気づきにくくなります。
高齢者でトイレに介助が必要な場合、水分を摂取することでトイレが近くなるという不安からできるだけ水分を控えてしまうこともあります。
また認知機能の衰えから、自分が水分を取っていないことがわからないなどの場合もあるのです。
そして高齢になると持病が増え、降圧剤や糖尿病の治療薬を使用している際はその影響で尿量過多になることもあり、水分摂取に注意していかなければいけません。
水分不足は体内の脱水状態を引き起こし、血液が濃くなり血栓ができやすくなることから、脱水が原因で脳梗塞や心筋梗塞なども起こります。
このような理由から、高齢者には水分摂取のサポートが必要となるのです。
高齢者の水分摂取のケア方法とは
トイレを敬遠するために水分を控えている高齢者の場合は、その心配を和らげる声掛けをしましょう。
たとえば、外出先でのトイレの心配をしている場合は、トイレのある場所へ誘導したり、移動時間などを案内しトイレに行けるタイミングを伝えたりするようにしてみます。
日々の体調などを考慮して、リハビリパンツなどを活用しトイレの失敗を予防することも良い方法です。
水分は、一日に約1ℓ~1.5 ℓ必要ですが、持病がある場合は適切な水分量が変わってきますので、主治医などに相談し、個人に合う水分量を知っておきましょう。
水分摂取に抵抗のある高齢者の場合、水分摂取の必要性を伝えたり、間食に果物やゼリーなど水分量の多いものを取り入れたりすることで水分摂取を誘導するのもよいでしょう。
認知機能に不安がある場合、起床時、各食事のタイミング、リハビリ時など、水分摂取の時間を定めておけば管理が楽になります。
入浴後や、外出後など水分を失うタイミングや、気温が上昇し汗をかく夏場、空気が乾燥している冬の時期など、個人の行動や季節に合わせて水分摂取を促すことも大切です。
水分は一度に多量に飲むのではなく、複数回に分けて一回当たり200㎖程度を目安にこまめに摂取しましょう。
また、水分はミネラルの含まれたカフェインレスな麦茶や、吸収の効率がよい経口補水液などがおすすめですが、あまり強要せずに個人の嗜好に合わせたものを用意します。
高齢者に人気なのは、梅昆布茶やオレンジジュースや野菜ジュースなどです。
摂取の際は、量だけではなく、冷たすぎないか、熱すぎないかなど温度にも気を配りましょう。
ティータイムを設けて、お好みのお茶菓子とともに水分摂取を楽しむことも良いですね。
気を付けたいのが、認知症などが原因で本人が水分摂取を拒否する場合です。
本人が水分摂取を拒否する際は、強要したり無理に水分摂取をさせることで、ストレスになったり誤嚥性肺炎になってしまうなどの思わぬ事故になることもあります。
こういった場合は、ケアマネージャーなど介護のプロに相談することがおすすめです。
まとめ
高齢者は様々な要因で水分が不足しがちです。
水分不足になることで、脱水症状や、身体機能に影響を及ぼし、脳梗塞、心筋梗塞などの最悪の事態も引き起こしかねません。
個人に合った声掛けや、タイミングを作るなど工夫をして適切に水分摂取が行えるようにケアしていきましょう。
水分の内容は麦茶などミネラルの含まれたものがベストですが、あまり拘らずに本人の嗜好に合わせて柔軟に対応します。
水分摂取への拒否感が強い場合は、無理にすすめることをせず、ケアマネージャーなどに相談し個人に見合った方法を見つけましょう。
東海地方周辺で、このようなお悩みがある場合、多くのケースで経験と実績のある東海レーベンにご相談いただければ、ご本人の状態を判断し最適な対処法へ導きます。
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