老人性円背を悪化させない対策とは
腰が大きく曲がった老人性の猫背は、老人性円背(ロウジンセイエンパイ)と呼ばれます。
特に痛みもなく加齢のせいだと放置しがちですが、実はさまざまなリスクがあるのをご存じでしょうか。
今回は老人性円背のリスクや、今以上進行させないための対策法についてまとめました。
老人性円背とは?
「円背」とは簡単に言えば猫背のことで、脊柱が前に倒れた状態です。
老人性円背は加齢による筋力の低下や骨粗鬆症の進行によって起こり、比較的女性に多い症状です。
歳をとっていきなり円背になるわけではなく、多くの場合は猫背が進行することで老人性円背の状態になります。
老人性円背は特に痛みを感じないので、進行しても「加齢のせい」と放置してしまいがちですが、健康に影響があるため注意が必要です。
老人性円背のリスクとは?
では、老人性円背は身体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
・転倒〜骨折
常に前傾姿勢になり転倒しやすいです。
また背骨が曲がったままなので、ゆっくり座れずに尻餅をつくような感じになり、その衝撃で圧迫骨折をする恐れもあります。
さらに、円背が悪化することもあるでしょう。
・誤嚥
前傾姿勢なので食べものを飲み込み辛く、誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあります。
・呼吸がしづらい
姿勢の悪さで胃や心臓などの臓器が圧迫され、呼吸が荒くなるなどの問題もあります。
きちんと呼吸がされていないと体の中の酸素が少なくなり、筋肉の働きも悪くなる悪循環が生まれます。
・寝る姿勢
背骨が大きく曲がると、仰向けで寝ることが難しくなります。
寝返りも困難になり、同じ姿勢で寝続けることで褥瘡(じょくそう)が起こることがあります。
老人性円背の対策
老人性円背の対策法は「食事」「運動」「姿勢」の3つです。
日頃、これらを意識して生活することが大切です。
・食事
カルシウムを意識的に摂取することで骨密度が上がり、円背悪化の原因にもなる「圧迫骨折」を防ぐことができます。
その他、ビタミンD・マグネシウムはカルシウムの吸収を良くする作用があるので、合わせて摂るのがおすすめです。
<カルシウムを多く含む食品>
乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
大豆製品(豆腐や納豆など)
小魚
海藻
<ビタミンDを多く含む食品>
魚介類(鮭、さんま、しらす干しなど)
きのこ類(キクラゲ、舞茸など)
卵黄
<マグネシウムを多く含む食品>
海藻類(あおさ、わかめ、ひじき)
魚介類(あさり、まぐろ、かつお)
穀類
ナッツ類
・運動
円背の悪化を防ぐには上半身、特に背筋力を鍛えると良いでしょう。
日光を浴びると、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが作られるので、日中の散歩もおすすめです。
また、胸を張る、背中を伸ばす、両肩を広げる、などの簡単な運動を継続するだけでも、可動域が広がり筋力が上がります。
無理に背筋を伸ばそうとすると痛みが出たり、悪化する恐れもあったりするため注意しましょう。
・姿勢
正しい姿勢を保つことも重要です。
骨盤を立てると自然と背骨が綺麗なS字になるので、日頃から意識しましょう。
椅子に座る時も深く腰掛け、背もたれに背中をつけると、骨盤が立ち背筋が伸びます。
老人性円背の治療法
円背の治療は、整形外科が一般的です。
治療法は、カルシウム摂取や運動の他に、サポート器具で日常生活の不便を緩和する方法もあります。
<一例>
・姿勢を固定するもの(コルセット、サポーター)
・椅子(老人性円背の人向けに骨盤と背骨を支え、楽な姿勢で座らせてくれる)
・シルバーカー
・杖
日常生活で気をつけるべきこと
老人性円背の人は、日常生活で下記を気を付けましょう。
・座り姿勢
椅子の背もたれに曲がった背の部分が当たるため、深く腰掛けるのが困難です。
浅く腰掛けていると姿勢が安定せず、椅子から落ちるかもしれません。
座るときは、背もたれとの間の空間に支えとなるクッションを入れて、体を安定させましょう。
・テーブルの高さ
「普通」が老人性円背の方にとっては、不便かもしれません。
テーブルの高さもそのひとつです。
背中が曲がっている分、テーブルが高すぎると食事を摂りづらいかもしれません。
ただでさえ、高齢者は誤嚥の危険性があるので、食べ物を口に運びやすいかどうかを本人に確認しましょう。
・寝具マットの硬さ
寝る時の寝具も気をつけたいポイントです。
柔らかいマットは円背を悪化させる恐れがあるため、柔らかすぎないもの、体圧分散できるものなどの使用がおすすめです。
まとめ
老人性円背は、「食事」「運動」「姿勢」で予防できるかもしれません。
老人性円背のサポート器具をうまく使って、少しでも症状を和らげ、日々健やかに過ごしましょう。
サポート器具の使用を考えているのであれば、一度プロにご相談してみるのもおすすめです。
東海市にお住まいの方はぜひ東海市の東海レーベンへご相談ください。
ご家族に寄り添い、その方にあったアドバイスをさせていただきます。