高齢者のための温度管理・適正な室内温度や湿度とは?
ご高齢の方によくあるのが「年中寒い」というご相談です。
夏でも寒く感じてエアコンをつけずにいたことで、熱中症になりかけたという事例もあります。
また、室内温度の適温に家族とズレが生じて、揉め事になるといったお悩みのケースも少なくありません。
高齢者に多いこの「寒い」という感覚は、加齢による筋肉量の低下が考えられます。
筋肉量が低下すると、基礎代謝量に比例し低下していき、低体温になりやすく、身体や心肺機能などの機能低下も引き起こす場合があるので注意が必要です。
さらに高齢者は認知機能の低下により、理解できないことが増え、今までできていたこともできなくなる不安から自律神経が乱れる場合も多く、寒暖差の変化に鈍くなる傾向にあるといえるのです。
このような背景から、ご高齢の家族がいらっしゃる場合、適切な室温と湿度にしっかりと気を配ることが重要になります。
冬場の温度管理と注意点
冬場については室温22度・湿度50%が適切です。
特に湿度を保つことは、インフルエンザなどのウイルス感染のリスクを下げる効果もあるので、加湿器などを利用しながら一定の湿度を保つようにしましょう。
そして冬場のヒートショック現象にも注意が必要です。
ヒートショック現象とは、居室やリビングといった普段過ごす場所からトイレや風呂場など冷え切った場所に移動することで、寒暖差により血圧が乱れ、最悪の場合、心筋梗塞や脳梗塞などの症状を引き起こす現象です。
このヒートショック現象は、一般的に寒暖差が10度以上あるときに起こりやすいといわれています。
北側にトイレがある場合などは寒暖差がないかを確かめて、寒暖差が大きい場合は小型の暖房を設置するなどの対策をしましょう。
また、風呂場や洗面所では温度の他に、湯の温度にも注目してみてください。
湯舟の温度が42度以上の時は心臓に負担が大きいといわれていますので、38度~40度程度に設定し、入浴の際は、手足などの先端から徐々に心臓に向けてお湯に体を慣らすよう掛け湯をすると負担が軽減できます。
床にマットを敷く、予めシャワーなどで浴室内の温度を温めておくなどの方法も有効です。
夏場の温度管理と注意点
夏場は温度管理のために、熱中症対策が必須となります。
熱中症予防には室温28度、湿度60%が適切です。
温度管理はエアコンでのコントロールが基本となりますが、高齢者の方からは、エアコンの風が当たると冷たい、エアコンをつけっぱなしにすると電気代がかかるという不満を多く聞きます。
その場合、単に意見を否定するのではなく、扇風機やサーキュレーターなどで風を作って空気を循環させることや、近年豊富に揃っている冷感マットやタオルなどのグッズを利用するなども検討してみましょう。
そのほかにも夏野菜を豊富に料理に取り入れることで水分補給や体温を低くする作用が期待できますし、昔からある打ち水や緑のカーテンなども一定の効果があるとされています。これらは夏を涼しく過ごすという意識改革のきっかけにもなるかもしれません。
また、デジタル温度計を目に見える場所に置いたり、エアコンを消さないでなどの掲示をして視覚的に意識を向けたりするのも効果が期待できます。
近年の酷暑の状況から、夏場にエアコンを使用する重要さをしっかりと受け止めて、高齢者のエアコンに対する意識を少しずつ変えていけるように促すことが危険の回避につながるはずです。
具体的な説得方法としては、地球温暖化のための「省エネ」として、消費電力はエアコンの付け初めの時に大きくかかること、室内温度がある程度下がれば長時間付けていたほうが得が大きいことなどを説明してあげたり、暑く感じないのは加齢によって筋肉が衰えて感覚が鈍くなっているからとわかりやすく説明をしてあげたりすることなどがおすすめです。
まとめ
高齢者は筋肉量の低下や自律神経の乱れなどから、身体が冷えやすい状態にあります。
冬の温度管理では、普段いるリビングや居室だけではなく、トイレや浴室などの寒暖差にも注意が必要です。
夏場には熱中症対策などでエアコンを使いたいものの、ご家族のご高齢者が嫌がる、止めてしまうなどの場合は、まずは扇風機で空気を循環させたり、冷感グッズを上手く利用したりと工夫しながら徐々にエアコンの必要性を理解してもらえるように誘導しましょう。
こうした工夫をしても、高齢者のエアコンへの理解が難しく感じるなどでお困りの場合は、介護のプロであるケアマネージャーに相談することで、すぐに解決できる場合があります。
東海地方で高齢者のエアコン利用、寒さ対策などにお悩みの方はぜひ、東海レーベンにご相談ください。
ご高齢の方がどのような心境でエアコンを使いたがらないのか、住環境をどのように整えていけば快適に過ごせるのか、それぞれの個性や環境に合ったアドバイスも可能です。
長年の経験と豊富なケースを知るケアマネージャーが、皆様の環境に合った適切な方法や対応のコツなどをお伝えしてまいります。