あまり知られていない高齢者の貧血 その原因と症状について解説
「貧血」と聞くと、若い女性がなるというイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
じつは高齢者の約10人に1人は貧血だといわれており、さらにその症状や原因は若年者と異なる高齢者ならではの問題から引き起こされるといわれています。
しかし高齢者の貧血は症状が分かりづらいうえ、大きな病気が潜んでいる可能性もあります。
ではいったいなぜ、高齢者の貧血は起こってしまうのでしょうか。
今回は若年者と高齢者で違う貧血の原因と、高齢者が貧血を起こすことで現れるおもな症状を解説します。
さいごに高齢者の貧血への対策についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
若年者と高齢者の貧血の違い
そもそも貧血とは、酸素や栄養を運ぶ役割の赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度が低下することで起きる症状です。
貧血のおもな症状である動悸や息切れは、ヘモグロビンの減少により全身に酸素が行き渡りづらくなった結果、心臓が大量の血液を送りだし呼吸数を増やすことで引き起こされます。
なお一般的な貧血は「鉄欠乏性貧血」といい、鉄分の摂取不足や月経による出血によるもので若年者、とくに若い女性に多く見受けられます。
しかし、高齢者の貧血の場合は鉄欠乏性貧血に加え、血液を作る造血機能の低下によっても貧血を引き起こしやすいといわれています。
造血機能の低下にはさまざまな要因が考えられますが
・加齢に伴う骨髄内にある造血幹細胞の機能低下
・造血を促すホルモンの分泌量低下
・赤血球の形成を促す男性ホルモンの分泌量低下
などが挙げられます。
また、血液をサラサラにする抗血液凝固薬や潰瘍などの出血を伴う病気による貧血も高齢者に多いとされています。
高齢者の貧血の症状
貧血のおもな症状といえば動悸や息切れ、めまいですが、高齢者の貧血の場合はこれらの症状が見受けられないケースもあります。
例えば
・疲れやすい
・元気がない
・気分が悪い
といった一般的な貧血の症状に加え
・認知機能の低下
・胸が痛い
・食欲の低下
などのように体の多岐にわたって症状が現れる場合もあります。
そのため、いつも通りの生活をしているにもかかわらず上記の症状がみられる場合は、貧血を疑う必要があります。
ただし「便が黒い」または「便が赤い(鮮紅色)」場合は、胃や十二指腸、大腸などの消化管出血による貧血が疑われるため、早急に病院を受診しましょう。
高齢者の貧血の対策
これまで述べたとおり、高齢者の貧血の原因は1つでないことが分かりました。
しかし、動悸やめまいのほか
・イライラしやすくなった
・氷や飴など硬いものを噛みたくなった
・髪の毛が抜けやすい
・爪が割れやすくなった
・あざができやすい
・出産経験がある
以上のようなケースがあてはまる方は、鉄不足による鉄欠乏性貧血の可能性が高いといえます。
とくに高齢者は加齢によって食事量が減少して必要な鉄分が摂取できていない場合や、消化器官の衰えから鉄が上手く吸収できないことで鉄不足になりやすいといわれています。
そのため鉄を多く含むレバーや赤身肉、カツオやマグロ、小松菜やほうれん草を積極的に摂取するようにしましょう。
また、鉄だけでなく血液を作る元となるたんぱく質(肉や魚、卵、乳製品)と併せて、鉄の吸収率を上げる効果があるビタミンC(野菜、果物、イモ類)も摂取することをおすすめします。
まとめ
高齢者の貧血は若年者と異なり、造血機能の低下によっても引き起こされます。
その原因はホルモン分泌量の低下や服薬によるもの、病気による消化官の出血など多岐にわたります。
また、貧血による症状も動悸や息切れ、めまいといった代表的なものをはじめ、認知機能の低下や食欲の低下といった一見貧血とは気づきづらい症状で現れる場合があります。
しかし日常的な経過観察が難しい方、鉄不足を補う食事の提供が難しい方もいらっしゃると思います。
もし、東海市にお住まいで高齢者の貧血が不安な方は、お気軽に東海レーベンまでご相談ください。
東海レーベンの「ヘルパーステーションかえで」では、体や生活の介助など、高齢者の日常生活のサポートを行っております。