高齢者の不眠はなぜ起きる?不眠によるリスクと改善方法をご紹介
「夜なのに眠れない」「深夜に目が覚める」「昼間に強い眠気を感じる」など、睡眠に関する問題が1か月以上続く状態を「不眠」といいます。
高齢者の3人に1人がなんらかの睡眠障害を抱えているといわれ、なかでも不眠に悩まれている方は多くいらっしゃいます。
高齢だから仕方ないと思われがちですが、不眠はまさかの事態を引き起こし心身ともに悪影響を及ぼす可能性があることをご存じでしょうか。
今回は高齢者が不眠になる原因やそのリスクについて、そしてさいごに不眠の改善方法もご紹介しますのでぜひご一読ください。
なぜ高齢になるにつれ不眠になるのか
・日中の活動量の減少
年齢を重ねるとともに体力や視力が落ちるのと同じように、睡眠も加齢によって変化が生じます。
なかでも高齢者ならではの理由として一つ目に挙げられるのが日中の活動量の減少です。
高齢になると、仕事をはじめとした社会活動から離れがちになり、体力の低下や体の不調から日中の活動量も低下しがちになります。
すると疲労がたまらず体力だけが余ってしまい、体が睡眠を必要と判断せず睡眠量が減少してしまうのです。
また、夜に眠れなかったぶん日中が眠くなり昼寝をしてしまうと、さらに日中の活動量が減少し不眠に陥ってしまうケースもあります。
・体内時計とホルモンバランスの乱れ
人間には体内時計が備わっており、約24時間の周期のなかで私たちは睡眠を取り、朝起きるという生活を送ります。
しかし高齢になるとともにこの体内時計は変化し、生活リズムが朝方に前倒しになるといわれています。
また、体内時計のコントロールはセロトニンといういわゆる「幸せホルモン」と、セロトニンから変換されるメラトニンというホルモンが関係していると考えられていますが、これらのホルモンの分泌能力は高齢になると低下することが明らかになっています。
そしてこれらの影響によって引き起こされるのが「レム睡眠」の増加です。
レム睡眠が増加すると眠りが浅くなるため、夜中に何度も目が覚めてしまい再度寝付くことが難しくなってしまうのです。
不眠がもたらす悪影響
・さまざまな病気にかかりやすくなる
不眠で睡眠不足が続くと、血糖値をコントロールするインスリンの働きが悪くなり糖尿病のリスクが上がるといわれています。
また、血圧が上昇することによる高血圧や、これらの不調からうつ病の発症などのリスクが高まるともいわれています。
さらに不眠状態が続いてしまうと、コルチゾールというストレスホルモンが蓄積され、認知症の発症の可能性を高めたり、免疫機能を低下させたりしてしまいます。
・転倒のリスク
不眠による睡眠不足は、集中力や注意力が散漫になるとともにバランス能力の低下を招いてしまいます。
高齢者は筋力が低下している場合がほとんどのため、バランスを崩しやすくなりそのまま転倒してしまう恐れがあります。
転倒による骨折は最悪の場合、寝たきりや要介護状態になる可能性が高いため高齢者はとくに気を付けるべきといえるでしょう。
不眠の改善方法
・日中に活動する
規則正しい生活は体内時計を整えるほか、朝日を浴びたり適度な運動をしたりすることで前述したメラトニンが夜に分泌されやすくなります。
さらに適度な運動によって程よい疲労感がたまることで、きちんと夜に眠くなるようになります。
それでも日中に眠くなってしまう場合は、コーヒーや紅茶などカフェインが含まれた飲料を摂取するのがおすすめです。
・アルコールの摂取を控える
寝つきを良くするためにアルコールを摂取する方も少なくないのではないでしょうか。
しかしアルコールは睡眠を浅くしてしまうだけでなく、利尿作用によって夜中に何度も目を覚ましてしまう原因にもなります。
睡眠前のアルコールの摂取は控え、寝るために必要なたんぱく質やビタミン、糖質などの栄養をしっかり摂取することをおすすめします。
まとめ
高齢者の不眠は糖尿病や高血圧などの病気になるリスクが高まるだけでなく、集中力の低下から転倒してしまう危険性もあります。
なお不眠の改善には、適度な運動や睡眠前のアルコール摂取を控えて規則正しい生活を送ることが重要です。
しかし、高齢になると一人で運動をするのは難しいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
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