高齢者の食事拒否について

健康的な生活を送るためには、毎日食事をしっかり取ることが大切です。

しかし、高齢になると食欲や食事量が減るだけでなく、食事を拒否して食べなくなるケースがあります。

高齢者がなぜ食事を拒否するのか、また食事拒否された場合にはどうすればいいのかまとめました。

 

食事拒否の原因

食事拒否の原因は下記のとおりです。

 

・嚥下(えんげ)機能の低下

加齢とともに、嚥下機能(飲食物を口に入れ飲み込むまでの機能)が下がり、飲食物が飲み込みづらくなります。

もし嚥下障害が起きると、気管の中に飲食物が入ってむせるため、とても苦しい思いをします。

その恐怖心から食事を嫌がり、最悪の場合は誤嚥性肺炎を引き起こす恐れがあります。

 

・口腔トラブル

義歯や虫歯の噛み合わせが悪いなどの口腔トラブルも考えられます。

一般的に高齢者は入れ歯を使っていますが、入れ歯が合っていない場合もあります。

また、歯がぐらつきや虫歯で、毎回の食事自体がストレスになるケースもあります。

 

・食べ物がわからない

食べ物と認識していない可能性があります。

認知症には失認 (見えているものが何か正しく認識できない)症状があります。

その場合、食べられるものと食べられないものの区別がつかず、食事を拒否する傾向があります。

 

・食べ方がわからない

認知症の症状のうち、失行 (普通にしていた簡単な行動ができなくなる)により、食べ方がわからなくなっている場合があります。

食べ物を箸やスプーンで口に運ぶ、口内で食べ物を噛む、細かくなったら飲み込むという3つの動作が、わからなくなる症状です。

運動機能や視覚などの感覚器に異常がなくても、食べる一連の動きができません。

そのため、汁物やご飯など特定のものだけ食べなかったり、食事の手が止まって戸惑ったりするケースが発生します。

 

・落ち着いて食事できる環境でない

特に認知症の場合は集中力に欠けるため、周りの環境の影響に左右されやすいです。

何か刺激を受けると食事に集中できなくなります。

 

環境上の問題として、2つに大別できます。

  • 外部環境

・明るすぎる、暗すぎる、

・音がうるさい (TVや音楽など)、静かすぎる

・食卓の花や壁のポスターなど気になる

 

  • 内部環境

・食事の姿勢がつらい (腰痛や皮膚の痛みなど)

・トイレに行きたい、便秘で苦しい

・眠い

 

食事拒否の捉え方

総じて高齢者は活動量が少ないため、1日に必要なエネルギー量も少しで済みます。

1日3回規則正しく食事を取る習慣だと、お腹が減らず、当然食欲がわかないこともあります。

一回食事を抜く程度なら、大した影響はないでしょう。

 

食事拒否が続き心配で、理由を尋ねたり食事を強制したりすると、かえって食事を受け付けなくなる恐れがあります。

食事の時間を不快だと思ってしまうと、食卓に座ることも拒む可能性があるため、無理強いはしないようにしましょう。

ただし、夏の暑い時期は脱水症状になるため、注意しましょう。

また、糖尿病の持病がある場合は食事しないまま、治療薬を服用すると低血糖を引き起こす危険性もあるので要注意です。

 

食事拒否の対策方法

食事拒否の対策方法は下記のとおりです。

 

・嚥下(えんげ)機能の低下

食事が始まる時に、ゆっくり噛んで食べるよう優しく声かけをしましょう。

むせる回数が増えたり、むせ方がひどくなってきたりすれば、一度医師に相談してください。

 

・口腔トラブル

定期的に歯科検診を受けて、必要に応じたメンテナンスを行います。

また、普段から口の中を清潔に保つよう、歯磨きや入れ歯のケアがきちんとできているか確認してサポートしましょう。

 

・食べ物がわからない

食べ物と認識しやすいよう、声かけをしてみましょう。

「温かいお味噌汁ですよ。」「おいしいお饅頭ですね。」と言うことで、食べ始めるきっかけになるかもしれません。

また香りのよい食材を使ったり、手に持たせたりして、嗅覚や触覚などの感覚に直接訴える方法もあります。

 

・食べ方がわからない

本人の目の前で、一緒にゆっくり食事をすると、真似して食事が進むことがあります。

食器を変え、盛り付けを工夫しても、目先が変わるので食べられるようになることもあります。

例えば、白ご飯は色付き茶碗で出したり、ふりかけや漬物などを添えたりして、視覚に訴えてみましょう。

 

・落ち着いて食事できる環境でない

体調や状況に応じて、食事時間をずらしたり、トイレを済ませておいたりして、安心して食事ができるように整えましょう。

照明を調節して適度な明るさにする、食事の場が騒がしくないようにする、食堂内やテーブルの上はシンプルに片付けておく、など外部環境にも配慮して、食事しやすい落ち着いた空間を作りましょう。

 

まとめ

今回は高齢者の食事拒否について、解説しました。

食事拒否をはじめとして介護が必要になった場合、東海レーベンに是非ご相談ください。

一人ひとりに寄り添った介護サービスをご提供いたします。

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