誤嚥性肺炎の予防法

日本は高齢化が急速に進んでおり、日本の死亡原因にも大きな変化をもたらしています。 

厚生労働省が行っている「人口動態調査」の調査結果を見てみると、日本人の死亡原因の順位が分かります。2021年度のデータを見てみましょう。 

 

1位 悪性新生物 

2位 心疾患 

3位 老衰4位 脳血管疾患 

5位 肺炎 

6位 誤嚥性肺炎 

 

5位、6位に肺炎が並びました。 

5位の化学性肺炎は、肺に有毒な物質を吸い込んだ場合に起こる肺の炎症です。 

それに対し6位の誤嚥性肺炎は、口腔内の分泌物、胃の内容物、またはその両方を肺に吸い込んだ場合に発生する肺の感染症です。 

誤嚥性肺炎は特に高齢者に多く発症し、死亡原因となっているため注意が必要です。 

 

誤嚥性肺炎とは 

物を飲み込むことを嚥下(えんげ)と言います。 

嚥下すると、食べ物は口から食道、胃へと流れていきます。 

ところが、嚥下の機能が低下すると、食道へ入るものが誤って気管に入ってしまうことがあります。 

本来、気管に入ってはいけないものが気管に入り込むことを誤嚥(ごえん)と呼びます。 

気管に食べ物などが入ってしまった場合、通常はむせることで気管から異物を排出する反射機能が働きます。 

この機能が鈍ってしまうことで、異物が排出できず肺に入ったままになってしまい、肺の中で炎症が起こることを誤嚥性肺炎といいます。 

加齢によって噛む力が弱くなったり、舌を動かす筋肉が衰えたりすることで、嚥下機能が低下しがちな高齢者に多く起こります。 

 

誤嚥して炎症を起こすものとして、以下のものが挙げられます。 

 

・食べ物、飲み物 

・口の中の細菌 

・おう吐したとき、吐いたものと胃液を誤って吸い込む 

 

誤嚥性肺炎の症状は? 

風邪と似たような症状が一般的です。 

 

・発熱 

・咳が続く 

・粘り気のある痰、黄色や緑色の痰が出る 

・呼吸が苦しい 

・肺雑音がある 

・悪寒がする 

 

高齢者の場合はこのような典型的症状が見られないことも多く、気づいたときには肺炎が進行していたというケースもあります。 

次のような症状が見られたら、誤嚥性肺炎の可能性があるため注意しましょう。 

 

・元気がない 

・食事の時間が長くなる 

・食後に疲れてぐったりしている 

・ぼーっとしていることが増えた 

・失禁するようになった 

・口の中に食べ物をため込んで飲みこまない 

・体重が減ってきた 

・夜間に咳き込む 

 

予防方法は? 

誤嚥性肺炎の再発や悪化を防ぐためには、口の中のケア、食事の仕方など、日常生活での対策が必要です。 

 

・口腔内を清潔に保つ 

誤嚥性肺炎は口の中の細菌も原因になります。 

口の中が清潔に保たれていないと、肺炎の原因となる細菌がより多く増殖し、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まります。 

歯磨きに加えて舌も磨く、義歯の手入れをきちんとするなど口腔内を清潔に保ち、細菌を減らすようにしましょう。 

 

・食事の仕方を工夫する 

高齢者は飲み込む力が低下しているため、少しずつゆっくりと食べるようにしましょう。 

調理する側もやわらかく調理する、とろみをつけるなどの工夫をすると良いでしょう。 

 

・食事の体制に気を付ける 

食事中は顎を引き、深く椅子に腰掛け、かかとをしっかり床につけましょう。 

食後すぐ横になると胃や食道の食べ物が逆流して誤嚥を起こすこともあるので、食後2時間くらいは座って過ごすようにしてください。 

 

・飲み込む力をつける 

飲み込みの力を維持するため、また、唾液を出やすくするために、口やのどの体操をすると良いでしょう。 

舌を口の中ではじいて「タッ」と音を立てて鳴らしたり、舌で左右の頬を内側から押したりする方法があります。 

 

まとめ 

誤嚥性肺炎は高齢者にとって危険性の高い病気であり、再発や悪化を防ぐには食事前後の見守りが重要になります。 

また、誤嚥性肺炎の症状が分かりにくいこともあるため、兆候を見逃さないことが大切です。 

ご家族による食事の見守りが難しい方、飲み込む力のトレーニングに興味のある方は、ぜひ東海市の東海レーベンをご検討ください。 

 

 

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