塗り絵で認知症予防!高齢者に楽しんで塗ってもらう4つのコツ
認知症とは、脳の細胞が変化することで認知機能が低下して、生活に影響が出るような状態を指します。高齢化が進む日本では、認知症の前段階とされる軽度認知障害を含み65歳以上の3人に1人がこれに関する症状を有するといわれています。
根本的な治療法は確立していない認知症ではありますが、予防策として「塗り絵」が推奨されていることをご存じでしょうか?
今回は、高齢者の方に塗り絵がおすすめな理由や楽しんでもらうためのコツをご紹介します。
塗り絵が認知症予防に良い理由
認知症予防の鍵は、脳を活性化させることにあります。なぜなら脳を活性化させると、認知機能低下の抑制につながりやすいためです。
そして「塗り絵」はこの脳の活性化を効率的に促せるといわれているため、高齢者でも負担なく認知症予防が叶うおすすめのツールといえるでしょう。
具体的には、次のような恩恵を期待できます。
前向きな気持ちの促進
脳には手先を動かすことで活性化する「前頭葉」という部位があり、この部位は前向きな気持ちを促す機能を持っています。
認知機能が低下すると、気持ちも後ろ向きになりやすいのですが、塗り絵で手先を動かしていれば自然に前向きな気持ちを促せるようになります。
記憶力低下の抑制
塗り絵は「何色を塗ろう?」と記憶から答えを探す中で、記憶に関する「側頭葉」という部位をスムーズに刺激します。
認知機能が低下する認知症にとって、記憶力をいかに維持するかが重要です。
何度も色を選ぶという思考は記憶への働きかけに自然とつながり、記憶力低下の抑制も期待できるでしょう。
感情コントロールの維持
認知症の方は感情の起伏が激しくなりやすいため、そうした感情をうまくコントロールできることは予防にも役立ちます。
感情に関わる脳の部位には前頭葉や側頭葉があり、これらは「色を選ぶ・塗る」という2つの動作で良い刺激を与えられるため、高齢者の塗り絵は穏やかな生活を維持するのにもぴったりだといえるでしょう。
高齢者に塗り絵を楽しんでもらう4つのコツ
認知症予防にも良いとされる塗り絵ですが、人によっては「子供っぽいから」となかなかやりたがらない方もいるかもしれません。
いくら効果的だとはいえ、本人がやりたくないのに無理やりやらせるのは良くありません。
以下では、少しでも多くの方に塗り絵を楽しんでもらうためのコツを紹介します。
①一人ひとりの興味や能力に合わせる
楽しんでもらうには、塗り絵に興味を持ってもらうことが欠かせません。
建物、人物、花、風景など、まずはその人がどんなジャンルに興味を持っているのかリサーチをするか、複数パターン用意しておくとよいでしょう。
また、難易度の工夫も必要です。塗る箇所が細かく難しそうな絵柄はやる気が起きないかもしれませんし、あまりに簡単すぎたり子供向けの絵柄だったりするとプライドを傷つける可能性があります。
②取り組みやすい環境づくり
高齢者の方は足腰が不自由だったり手が痺れて動かしづらかったりと、人それぞれ不調を抱えているケースが多くあります。
だからこそ、楽しんでもらうには身体の状態に合わせた環境づくりが大切です。
「紙をバインダーに挟む」「車椅子から椅子へ移乗介助を行う」など、一人ひとりに合わせた環境をつくりましょう。
③やる気につながる声かけ
人には得意不得意があるため、夢中になる方もいれば途中で「やりたくない」「飽きた」と口にする方もいるでしょう。
しっかりと認知症予防を行うには継続が必要だからこそ、見守る方のサポートも欠かせません。
「均一に塗れてて上手ですね」「色のチョイスが素敵ですね」「センスが良いです」など、喜びややる気につながる具体的な声かけを意識しましょう。
④飾り方も工夫する
塗り絵を施設や家で飾る方は多いですが、その飾り方にもぜひ工夫をしてみましょう。
例えばお花の塗り絵を複数人で行う際は、塗り終わったあとに線に沿ってお花を切り取り、花束のような形にして壁に飾ることもできます。
お花を切り取る際は本人たちにハサミで切ってもらうと、手先の運動にもなり一石二鳥です。
まとめ
近年では大人の趣味としても大きな広がりを見せ、バリエーションが豊富にある塗り絵ですが、高齢者の方の認知症予防としても注目を浴びています。
塗り絵は老若男女問わず、工夫次第で楽しみ方が広がる手軽なツール。自宅にいながら楽しく脳を動かせるので、高齢のご家族がいる世帯もぜひ試してみてはいかがでしょうか。
東海市の東海レーベンは、地域密着型の介護のプロとして、高齢者の方やそのご家族が快適に過ごすためのサービスを幅広く提供しています。
「認知症予防のために介護サービスを利用したい」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。









