老人性うつの症状とは？認知症との違い、接し方についても解説
「老人性うつ」という言葉を知っていますか？正式な病名ではありませんが、65歳以上の高齢者に見られるうつ病を指します。
高齢者が発症するうつ病は、生活の拠点が自宅から介護施設に移行するなどの環境の変化、加齢による衰弱、病気などが引き金となるのだそう。
本記事では老人性うつの症状や認知症との違い、さらには正しい接し方についても解説します。
老人性うつの症状
65歳以上で発症するといわれる老人性うつですが、主に次のような症状が見られると注意が必要です。
抑うつ
気分が著しく沈み、意欲が低下するのが「抑うつ」です。
楽しみや生きがいなどが感じられず、マイナス思考に支配されやすくなるだけでなく、不安感や焦燥感なども強まりがちです。
この症状は朝に強く見られ、午後から夕方にかけては改善する「日内変動」という特徴があります。
身体的症状
若い人のうつ病と比較すると、老人性うつは精神症状よりも身体的不調を訴える方が多いです。
たとえば頭痛、胃痛、肩こり、吐き気、倦怠感、めまい、食欲不振、不眠もしくは過眠などの症状がよく表れるでしょう。
精神症状が目立たたないケースも多いため、病院に行っても原因が特定できない可能性があります。
妄想
妄想とは、現実にないことを現実のように思いこんでしまう症状のこと。
老人性うつの妄想には、次のようなものが挙げられます。
- 心気妄想：「自分は不治の病にかかってしまった」などと思いこむ
- 罪業妄想：罪を働いた、警察に逮捕されるなどと思いこむ
- 貧困妄想：十分な貯金や収入があっても、お金がない、破産したと思いこむ
早期発見後は、心療内科や福祉センターへ
老人性うつは早期発見、早期治療が重要です。
- 食欲減退や睡眠不足が目立っている
- 以前からの趣味に興味を示さなくなった
- いつも疲れているように見える
などの様子が見られるようであれば、心療内科や精神科に相談をしましょう。
もし病院に連れていくべきか迷った場合、精神保健福祉センターに相談してもよいでしょう。
認知症との違いは？
認知症との違いもしっかりと理解しておくことで、うつの症状の早期発見につながります。
初期症状・自覚面・妄想内容の3点からその違いを比較していきます。
初期症状
老人性うつはストレスや何らかの出来事が原因になる場合が多く、抑うつや疲労を感じる、眠れないなどの心身の不調が起こりやすくなります。
その一方で認知症、とりわけアルツハイマー型の場合は明確な発症のきっかけがありません。
初期から記憶障害が見られ、進行すると食事や排せつなどの行為が困難になります。
本人の自覚
老人性うつは不調を自覚しており、自信喪失や劣等感が生まれやすいです。
認知症は初期段階で、もの忘れについての訴えがあるものの、進行するにつれ記憶障害の自覚が薄れます。介護者から見れば確実に無理だと思っても、本人は「自分でできる」と自信過剰になる方もいます。
妄想の内容
老人性うつの妄想の特徴は、不安や罪悪感が強まって起こる自責思考にあります。
一方、認知症の方の妄想は、「自分のお金が盗まれた」と考える「もの盗られ妄想」が主な症状です。
老人性うつの方への正しい接し方
治療中に重要となる、家族や周囲との接し方についてご紹介します。
以下のポイントを心がけるだけでも、お互いがストレスを最小限に治療と向き合えるようになるはずです。
無理強いや安易な励ましはNG
焦らず本人のペースで治療に臨めるよう、無理に趣味や運動に誘ったり、安易に励ましたりするのはやめましょう。
プレッシャーを感じさせないためには、励ますよりも現状を認め、受け入れる接し方が効果的です。
自然に接する
周囲の過剰な心配は、本人が遠慮や申し訳なさを感じてストレスになる可能性もあります。
負担を減らそうと家族が身の回りの世話をすべて行うと、本人は自信を失い、状態が悪化する恐れがあるのです。
本人ができることは無理のない範囲で継続させ、自然に接していると、徐々に症状が安定していくかもしれません。
まとめ
老人性うつの症状や、認知症との違い、周囲が取るべき接し方についてご紹介しました。
この病気によって抑うつになると、気分が大きく落ち込み、楽しみが感じられなくなります。
不安に思うかもしれませんが、無理強いや過剰な心配はせず自然に接し、本人の自信を取り戻す補助を心がけましょう。
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