押さえておきたい介護スキル!歩行介助のコツと注意点
基礎的な介護の1つである「歩行介助」は、ただ要介護者の体を支えるだけではありません。ご本人の自立を尊重し、快適な移動をサポートする役割も果たします。
今回は、歩行介助を行う際に押さえておきたい基本的なコツや注意点を具体的に解説します。
活用場面の多い介護の一つですので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
安心・安全な歩行介助のコツ3点
正しい歩行介助を行うには、以下の3つのポイントがあります。
お互いが安心して歩行できるように、ぜひ念頭に置いて取り組みましょう。
1.基本の立ち位置
体を近付け過ぎず、歩行の妨げにならないように「斜め後ろ」に立って行うのが基本です。
転ばせないようにと体を密着させると、相手の体重移動が上手くいかず、かえって歩行しにくくなります。要介護者が右利きの方なら「左後方」に、左利きの方なら「右後方」に、利き手とは逆側の斜め後方に立ちましょう。
そして麻痺がある方の場合は麻痺側に、杖を突かれている方の場合は杖を持っていない側が立ち位置の基本です。
歩行の邪魔にならないよう見守るとともに、つまずいた時やふらついた時には素早く対応できるようにしておきましょう。
2.歩行介助の3パターンと支え方
ここでは歩行介助のパターンを3つご紹介します。
【①寄り添い歩行】
要介護者の横に立ち、同じ方向を向いて一緒に歩行します。
脇の下に手を差し込み、軽く支えるようにするのがポイント。手すりや杖など、支えとなるものがない場合は、反対の手で手を握ってあげるとよいでしょう。
この歩行介助はサポートする側が斜め後ろから寄り添うため、お互いの気持ちが和みやすく、長い距離を移動してもストレスが少ないというメリットがあります。
【②手引き歩行】
お互いに向き合い、両手を取って歩く方法で、後方に立つ基本の歩行介助とは異なります。
最大の利点は前方への転倒を防ぎやすいことです。移動距離が短いときや、転倒のリスクが高いときにも適した介助方法なのでぜひ覚えておきましょう。
【③階段の昇り降り】
昇りは通常と同じ斜め後方に、降りるときは「斜め前方」に立ちます。
普段から杖を使用している方をサポートする場合、麻痺のない足(健足)に重心をかけることを意識すると、より安全に移動できます。
- 昇り…手すりや杖→患足(麻痺のある足)→健足(麻痺のない足)
- 降り…手すりや杖→健足→患足
この順番を意識して、歩行介助を行いましょう。
3.声掛けとペースを合わせる
相手の体重移動に合わせて適切なサポートを行いましょう。そのためにはまず、「観察」することが大切です。体の状態や歩き方の癖はそれぞれに異なるため、要介護者の特徴をしっかり把握しましょう。
たとえば、要介護者の体重が右に移動したら自分も右に、左に動いたら左に、「イチ・ニ・イチ・ニ」と声を掛けながら体重移動も合わせることでリズム良く歩行をサポートできます。
また、自分のペースに巻き込んでサポートとしないことも重要です。無理に急がせてしまうと転倒につながる恐れがあるだけではなく、介助されること自体をストレスに感じてしまう可能性もあります。
辛抱強く付き合い、できる限り相手のペースに合わせることを徹底しましょう。
歩行介助における安全確保
歩行介助においては、安全確保が最も重要です。そのために意識すべきポイントは、以下の2つです。
1.障害物の確認と除去
室内での移動時は電気コードや玄関マットなど、つまずきやすい物を事前に片付けておき、最低限の通路を確保しましょう。
屋外での移動は交通量が多い道路を避け、支える側が車道側に立つことによってリスクを軽減します。
2.補助器具の定期点検
高齢者の多くは、杖や歩行器などの福祉用具を利用しています。しかし、器具の点検不足が原因で転倒や怪我などのリスクが高まる可能性もあります。
- 杖…滑り止めのゴムが劣化や摩耗をしていないか
- 歩行器…ホコリやゴミでタイヤの滑りが悪くなっていないか、フレームの歪みがないか
以上の点に注意して、定期的に点検を行いましょう。
まとめ
歩行介助は要介護者の安全を守るだけではなく、移動の自由や自信を取り戻す助けともなる大切なスキルです。まずは歩行が困難である当事者の気持ちに寄り添い、無理なく自分の力を引き出せる環境をつくっていきましょう。
東海市の東海レーベンでは、歩行介助のような基礎的な介護スキルをはじめ、あらゆる福祉サポートを行えるスペシャリストが揃っております。経験豊富なケアマネージャーが一人ひとりに合ったケアやアドバイスをご提供することも可能ですので、お気軽にお問い合わせください。