どれくらい必要?高齢者の水分補給
暑い日が続くこの季節、熱中症になりやすいのは主に小さい子供や高齢者です。特に高齢者は喉の渇きを感じにくい傾向にありますが、なぜかというと年齢による生理的な変化や、脳の信号伝達の遅れなどが影響しているようです。
そのため、喉の渇きを自覚しにくく、気づいた時には熱中症で倒れしまうこともしばしば。熱中症を防ぐためにも、本人はもちろんのこと、周りも定期的に水分を摂るように声掛けを行うことが大切です。
ここでは高齢者の水分補給の注意点、どのくらいの頻度や量の水分補給が好ましいのかなどをご紹介します。
年を重ねるほど水分不足に陥りやすい理由
なぜ人は、加齢とともに水分不足に陥るのでしょうか。
その理由としては、主に以下の3つが考えられます。
(1)喉の渇きを感じにくい
脳の「口渇中枢」と呼ばれる部位は、喉の渇きを感じる役割を担っており、その機能は加齢とともに低下していきます。つまり高齢者は、実際には水分が必要な状態でも喉の渇きを自覚しにくくなっています。
また、薬剤の影響や噛む力の低下などで唾液の分泌量が減ることも原因の一つです。唾液の分泌量が減ると、口腔内が乾燥しやすくなって喉の渇きを自覚しにくくなるのです。
室内の湿度を保つために加湿器を利用したり、マスクを着用したりして口内の乾燥を防ぎましょう。
(2)体内の水分保持量の低下
高齢者は筋肉量が少ないため、体内に水分を多く保持することがむずかしくなります。
また、成人は約60%が水分といわれていますが、高齢者は約50%と、成人と比べて10%ほど少なくなるといわれています。そのため、普段の食事から水分を、摂っても体に保持されにくくなっています。
(3)尿量の増加と作られる総尿量の低下
高齢者は下半身に水分がたまりやすく、むくみが生じることもあります。その状態で横になると、腎臓への血流量が増加し、尿量が増えることがあります。
また、腎臓でつくられる総尿量が、成人と比較すると10~15%ほど減少してくるようです。
このように、
- 喉の渇きを感じにくい
- 体内の水分保持量の低下
- 総尿量の低下
などの要因で高齢者は水分不足に陥りやすく、さらには自覚しにくい傾向にあります。
では、高齢者はどのくらいの水分補給を行うと良いのかを見ていきましょう。
必要な水分摂取量の目安
高齢者が1日に必要とする水分量は、約2,500mlです。
たとえば体重70kgの方の場合、運動をしなくても呼吸や汗をかくことで約900ml、尿や便などで約1,600mlの水分が失われていきます。そして身体の水分量のバランスを保つためには、これらの合計2,500mlを取り込む必要があります。
水分補給の工夫・サポート時のコツ
本人が意識しようと思っても、つい忘れがちになる水分補給をきちんとサポートしてあげるには、どのような対策が有効なのでしょうか。
以下の4つをぜひ参考にしてみてください。
(1)1日に必要な水分量を伝える
1日の水分摂取量の目標と目安を伝え、共有しましょう。
具体的な数字を共有することで、本人にも効果的に意識付けできます。
(2)飲み物の好みを把握する
できるだけ本人の好みに合った飲み物を選ぶことで、負担なく積極的に水分を口にさせられます。
どのような飲み物が好みなのか、事前に把握しておきましょう。
また、高齢者におすすめの飲料はミネラルウォーターや麦茶です。
(3)食事で水分を補う
日々の食事内容には、スープ、味噌汁(薄味)、豆腐、卵豆腐などの水分量が多い品を取り入れるようにしましょう。
毎日3回の食事は、水分摂取の良い機会です。また、使用する食材も水分量の多い食材を選ぶのがおすすめです。
~水分補給におすすめの食材~
- 果物:スイカ、イチゴ、ミカン、リンゴ、桃など
- おやつ・デザート:ゼリー、プリン、ヨーグルトなど
- 野菜:トマト、きゅうりなど
(4)日々のルーティンに水分補給を取り入れる
下記のように、水分を口にする習慣づくりとして【1日合計6回、コップ1杯(約200mL)】を目安に、定期的な水分補給を促しましょう。
- 朝起きたら水を1杯の水を飲む。
- 外出する前、帰宅後にそれぞれ1杯の水を飲む。
- 入浴前後に1杯の水を飲む。
- 就寝前に1杯の水を飲む。
まとめ
高齢者の場合、加齢によって喉の渇きを感じにくくなることや水分保持量が減ることを理解し、喉が渇いていなくてもこまめに水分を口にさせることが大切です。
また、夏場には口の中の温度を下げる対策として、氷や冷たい水を摂ることもおすすめですよ。
そして唇の乾燥にはリップクリームやワセリンを使用する等、住環境や口腔内、唇の乾燥対策も効果的です。
このように高齢者の健康を考慮して、さまざまな工夫をしながら水分補給をサポートしてあげましょう。
夏場の健康管理だけでなく、ご高齢のご家族に関して心配事や不安なことがありましたら、愛知県東海市で介護施設を運営する「東海レーベン」までお気軽にご相談くださいませ。