高齢者の食欲不振と5つの改善策
高齢になると、一般的に若い頃と比べて必要なエネルギーや食事の摂取量が少なくなります。また加齢が進むと行動範囲が少しずつ縮小し、運動量自体が減るため、食欲も低下しがちです。
食欲が減退したり食が細くなったりすると、本来必要とされる栄養やカロリーの補給ができないため、健康維持が難しい状態になります。
今回は、高齢者の食欲不振が体にどのような影響を及ぼすのか、食欲が低下する主な原因から食欲不振の改善策にいたるまで詳しく解説します。
食欲不振が高齢者の体に及ぼす影響
年を重ねて日常的に食欲不振が続くと、低栄養状態になり、下記のような影響を及ぼす可能性が考えられます。
- 体重が減少する
- 筋肉量が減る(サルコペニア)
- 骨量が減る(骨粗鬆症の恐れ)
- 低血糖によるめまい/冷や汗や集中力低下などが発症する…炭水化物不足
- 体力が低下する/疲労しやすい
- 脱水症状が出る
- 歩行困難になる/寝たきりになる
- 転倒しやすい/骨折しやすい
- 免疫力が下がる(病気やケガが治りにくい)
- 感染症にかかりやすい(風邪/インフルエンザ/肺炎など)
- 気持ちがふさぐ
- 認知症につながりやすい
こうした悪影響を阻止するためにも、体にとって必要な栄養素は日頃から心がける必要があるのです。
高齢者の食欲不振の原因
高齢者の食欲不振は、以下のような4つの要因によって引き起こされると考えられています。
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年齢
加齢とともに見られる機能低下について、表にまとめました。
身体機能の低下 | ・体の機能全体が衰える
・基礎代謝が下がる ・運動量が減る ・五感が衰える(特に味覚/嗅覚/視覚) |
消化器機能の衰退 | ・内臓の働きが悪くなる
・消化に時間がかかる ・胃もたれ、膨満感がある ・空腹になりにくい |
口腔機能の低下 | ・咀嚼力が衰退(硬いものが食べにくいなど)
・歯がない/少ない ・入れ歯が合っていない ・歯や歯茎に痛みがある ・歯周病や口内炎がある ・嚥下障害(飲み込みにくい、むせやすい)がある ・唾液量が少なく口が渇きやすい |
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病気や疾患
病気や疾患が原因で食欲不振につながることがあります。できるだけ早めの検査で早期発見することが大切です。
良性疾患 | 胃潰瘍、慢性膵炎、肝硬変など |
悪性疾患 | 胃がん、膵臓がんなど |
なお、認知症の場合も食欲不振の症状が出ることがあります。
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環境の変化
住む場所や生活スタイルが変わると、慣れない環境によって食への関心が薄くなりやすいと言われています。
例えば、介護施設に入居したあとに、食欲が減退してしまうケースがよくあります。
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ストレス
配偶者や家族・友人を亡くしたときなど、心に過剰なストレスがかかると精神バランスが崩れ、うつ症状が出る可能性があります。
ほかにも、老化や将来に対する不安、退職後の喪失感などから、食欲低下を招きがちです。
高齢者の食欲不振・5つの改善策
具体的にどのような対策を練れば食欲不振を解消することができるのか、5つのポイントを紹介していくのでぜひ参考にしてみてください。
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食事内容を工夫する
まずは飽きられないよう工夫して、献立やメニューを考えます。
食欲が出ないときは、喉を通りやすいタイプの食べ物が好まれます。柔らかいもの、喉ごしがよいもの、冷たいもの、とろみのあるものを選びましょう。具沢山のスープや味噌汁も食べやすくて喜ばれる傾向です。
また、食欲不振時は一品の量を減らして品数を増やしたり、見た目をきれいに盛り付けたりなどすると、ある程度の効果が期待できます。オードブル的な一口サイズのものなら手で摘んで食べてもらいやすく、食事量の加減も簡単ですよ。
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食べたいものや食べられるものを提供する
可能な範囲で、本人の好む食品や体の状態に合った食べやすいものを準備しましょう。
咀嚼に問題があれば、ムース食、ゼリー食などの介護食もおすすめです。
ただし強要すると、逆にストレスや負担をかけることになりますので、決して無理強いはしないように心がけましょう。何よりも、食事を楽しんでもらうことが重要です。
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生活リズムを規則正しくする
日頃から、規則正しい生活を習慣化させられるように工夫をしましょう。
まずは起床/就寝、食事、入浴の時間をしっかり決めて、十分な睡眠と適度な1運動を心がけるだけでも心身のリズムが整いやすくなり、改善が見込めるはずです。
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食事時間を調整し、食事環境を整える
空腹時以外、あまり食欲がわかないのは当然のことです。たとえ食事時間を過ぎたとしても、すぐに食べられるような一口サイズのおにぎりや寿司、サンドイッチなどを用意しておくとよいでしょう。
食事が楽しくなるような環境を演出する必要もあります。孤食にならないよう、介護者や家族などと一緒に食事をすると効果的です。
また、気分転換として食事の際の席順を替えたり、食事場所を変えたり、たまの外食も効果的でしょう。邪魔にならない程度にインテリアで季節感を出したり、BGMを流したりしても構いません。
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口腔ケアをまめに行う
年齢とともに、咀嚼・嚥下などの口腔機能は低下します。
高齢になると誤嚥も発生しやすく、食べ物や飲み物が気管に入り、むせたり詰まったりしやすくなるのも食欲不振の要因になっているかもしれません。
日頃から食後の口腔ケアを実施して、定期的な歯科検診を意識しましょう。
まとめ
高齢になると食欲がなくなることが多く、食事を抜いたり食事の量が減ったりしがちです。
もし低栄養状態が続いてしまうと、心身にさまざまな弊害が現れます。体重が減少するだけでなく、筋肉量・骨量の低下による歩行困難や骨折、低血糖や脱水症状、免疫力低下、認知症などを発症する恐れも。食欲不振の改善策として、今回ご紹介したポイントをぜひ意識的に行うように心がけましょう。
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