高齢者の「関節リウマチ」とはどんな症状?

高齢者によく見られる病気の一つに、関節が自由に動かせなくなって日常生活に影響を及ぼす危険性のある「関節リウマチ」があります。関節リウマチは免疫疾患の一つで、症状が出る可能性のある部位は全身に及びますが、特に出やすいのは手首や手指といわれています。

今回は、この関節リウマチの具体的な症状や治療法について解説します。

関節リウマチとは?

関節リウマチは、関節に炎症が起こる病気です。

炎症は、自分の体をウィルスなどから守るはずの免疫が、自分自身を攻撃することで生じます。炎症が起こるのは関節内部の「滑膜」という部位で、通常は厚さ1mm以下の薄い膜です。この膜は関節が動く際、骨同士がぶつかって傷ついたり、痛みが発生したりするのを軟骨とともに防いでくれているため、炎症が起こると関節に腫れや痛みが生じやすくなって骨の破壊にまで進行する可能性があるのです。

・原因は体質や生活習慣?

関節リウマチの原因は、よく分かっていません。男女比は1:3もしくは1:4となっており、女性に多く見られる傾向です。

近年、遺伝的要因が10~15%という研究結果も報告されています。そのほか、環境的要因として、喫煙、歯周病、腸内環境、慢性の呼吸器感染症などが挙げられます。

関節リウマチによく見られる症状

ここでは、具体的にどのような症状が表れるのかをいくつかの例と共に解説します。

・関節の「腫れ」

関節リウマチになると滑膜に炎症が起こり、滑膜が腫れあがります。

また、滑膜から分泌される関節液が関節腔にたまり、関節リウマチの主な症状の一つである「関節の腫れ」が起こります。

・関節の「痛み」

滑膜には多くの神経が分布しています。間接液が間接腔に過剰にたまると、その腫れで神経が圧迫され、痛みを生じます。

炎症により痛みを生じる物質(発痛物質:炎症性サイトカイン、プロスタグランジンなど)が関節液に溶け込んで、滑膜がこの発痛物質に触れることが痛みの原因につながります。

・骨の「破壊」

骨が破壊されると、関節の変形、脱臼、癒合などが起こり、身体機能に影響が出てきます。

滑膜の炎症が自然に良くなることはありません。骨は本来、少しずつ新陳代謝を行うことで質を維持しますが、関節リウマチになると炎症サイトカインが「骨の破壊細胞」だけを活性化させてしまうため、破壊が進行していくのです。

治療法には何がある?

関節リウマチの治療法は、基礎療法、薬物療法、リハビリ、手術が挙げられます。病気の進行具合や日常生活への影響を考えながら選択する必要があります。

ここからは、それぞれの治療法について解説します。

・基礎療法

安静にすることと適度な運動に加えて、食生活や生活リズムの見直しを行うのが基礎療法です。

喫煙習慣がある場合は、禁煙を指導されることもあります。また、「関節リウマチ」という病気についてよく理解することも治療内容に含まれます。

・薬物療法

薬物療法ではまず抗リウマチ薬により、関節の炎症や破壊を抑えます。

抗リウマチ薬が十分に効果を発揮しない場合、炎症に関わる酵素であるJAKのはたらきを阻害する薬を使用することもあります。痛み止めとして、非ステロイド性抗炎症薬を処方する場合もあります。

・リハビリ

関節が動かしにくくなると、積極的にその部位を動かさなくなることで筋力も落ちてしまうため、関節の可動域と筋力を維持する目的でリハビリを行います。

関節の変形を防ぐとともに、動きを補助するために装具をつけることもあります。

・手術療法

これまでに紹介してきた治療を受けても、関節の変形などの障がいが残る場合には手術を行います。

人工関節、関節固定、頚椎固定、滑膜切除などが主な内容で、しっかりと治療を行うことで生活の質の低下を防ぎます。

関節リウマチが疑われたら早めの検査を心がけましょう

関節リウマチは、発症から2年以内に骨の破壊が急速に進むといわれています。関節の強張りや腫れ、痛みがある場合は年齢のせいや単なる関節炎と軽視せず、早めに医療機関を受診することが大切です。

関節リウマチが疑われるときの主な検査は、血液検査と画像検査の2パターンがあります。

それぞれどんな部分を調べているのかについて、簡単に解説します。

【血液検査】

自己抗体と炎症反応の様子を調べます。

ただし、血液検査だけでは十分な判断ができかねるため、ほかの検査と経過を確認した上で総合的に判断します。

【画像検査】

レントゲン、MRI、超音波による関節の画像診断を行い、骨の表面の欠けや軟骨の障害を調べます。

軟骨に障害があると骨と骨の隙間が狭くなるため、この症状の有無が関節リウマチの判断材料の一つになります。またMRIでは、滑膜の腫れがあるかどうかも見ることができます。

 

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高齢者には関節リウマチだけでなく、ある日突然さまざまな病気にかかる危険性が伴います。年齢を重ね、健康や日常生活に不安を持つようになったら、介護サービスを視野に入れましょう。

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