高齢者にみられる「排尿障害」とは?

高齢の方で「お腹に力を入れても尿が出にくい」「頻尿で夜中に何度も起きてしまう」といった症状に悩んでいる方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

尿に関する病気は男性に多いと思われがちですが、実は男女に差はありません。

加齢により筋力が衰えることで、排尿障害に悩む方は一気に増えるといわれているのです。

ときには日常生活に影響を及ぼす排尿障害ですが、生活習慣の改善や治療により症状の軽減が期待できるかもしれません。

今回は排尿障害の種類や対処法についてご説明します。

排尿障害の種類

尿を溜めることや排出することが困難な状態のことを排尿障害といい、さらには大きく分けて蓄尿障害と排出障害のふたつに分類されています。

・蓄尿障害とは?

尿を溜めることが困難になる症状で、尿失禁や頻尿を引き起こします。

尿失禁に悩む高齢者は極めて多く、日本では400万人以上といわれています。

・排出障害

排尿が困難になる症状で、力を入れないと尿が出ない・残尿感などを引き起こします。

どちらも主な原因は加齢による膀胱機能の衰えですが、男性の場合は前立腺肥大症が原因となることがもっとも多いといわれています。

そして高齢者の場合、蓄尿障害と排出障害を併発する場合が多いことが特徴です。

排尿障害の対策

排尿障害を改善する方法として、生活習慣の改善・薬物療法・行動療法・手術などが挙げられます。

それぞれの詳細について、以下で解説してまいります。

・生活習慣の改善

直腸内に便が残り続けると排尿障害の原因となるため、まずは便秘の改善が大切です。

また、過度な肥満や暴飲暴食、喫煙といった生活習慣が悪影響を及ぼすこともありますので、改善の余地がある場合にはしっかり見直しを行いましょう。

・薬物療法

前立腺肥大症や過活動膀胱が原因の場合には、投薬による改善を図ります。

生活習慣の改善をしても便秘が改善しない場合には、下剤が投与されることもあります。

・行動療法

行動療法とは、蓄尿障害に対する膀胱訓練と骨盤底筋体操のことをいいます。

膀胱訓練とは、あらかじめ設定した時間にトイレに行き、その間隔を徐々に伸ばすことで症状の改善を図るトレーニングです。尿意を感じてからではなく、時間を決めて排尿を習慣づけるのがポイントです。

骨盤底筋体操は、骨盤底筋群の収縮力強化が目的のトレーニングです。ゆっくりと深呼吸をしながら、膣や肛門を絞めたり緩めたりする動作を繰り返します。立った状態や座った状態、仰向けに寝転んだ状態などさまざまな体勢で、一日に50回から100回継続すると効果が得られるといわれています。

・手術

上記のような対策で改善がみられない場合、手術を選択する可能性が生じてきます。

高齢者の場合、身体への負担や合併症の可能性も考えられるため、まずは医師による慎重な診察が必要です。

高齢者が注意するべきポイント

排尿障害に悩む高齢者は、「トイレを我慢する」「水分の摂取を控える」といった対策をとってしまうことが多くありますが、これは大変危険な行為です。

水分不足は排尿障害に悪影響を与えるだけでなく、脱水・心疾患・脳卒中の原因にもなりかねませんのでご注意ください。

また、高齢者は複数の薬を飲んでいる場合があり、その内服薬が影響を及ぼしている可能性もあります。

「尿が出づらい」「頻尿」などでお困りの際には、主治医や泌尿器科へ早めに相談をしましょう。

まとめ

中には「歳だから仕方がない」と諦めてしまう方もいるかもしれませんが、排尿障害を理由に生活が制限されるのは心身の健康に良くありません。生活改善や運動、投薬などの治療によって症状が軽減することもありますので、諦めずに生活習慣の見直しや医療機関の受診をご検討ください。

また、排尿障害はご本人だけでなくご家族のストレスにもつながってしまう場合があります。もし介護について悩んでいる方がご家族にいましたら、東海市の「東海レーベン」にまでお気軽にご相談ください。東海レーベンの「ヘルパーステーションかえで」では、知識や経験の豊富なスタッフが高齢者の日常生活のサポートを日々丁寧に行なっております。

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