介護の選択肢・「遠距離介護」を行うには?
遠方に住んでいる親が高齢になって介護が必要になったときに、離れた場所で日常生活を支えることを「遠距離介護」といいます。
親の近くで面倒を見てあげたいという気持ちがあっても、介護する側に配偶者や子どもがいる場合は、現状の生活を変えるのが難しいこともあるでしょう。また、子どもと一緒に暮らしたくても、ほかに知り合いがいない土地への移住に不安が募り、介護を受ける本人側の希望で遠距離介護を選択するケースもあります。
こうしたさまざまな理由から遠距離介護をすることになった場合に、どんな点に気を付ければ良いのでしょうか。今回は遠距離介護のメリットやデメリット、事前に準備しておきたいことについてご紹介します。
遠距離介護のメリット
遠距離介護のメリットは、転居しなくて良いことにあります。介護のために親元へ引っ越しをするとなったとき、現在の会社を退職しなくてはならない場合もあるでしょう。ところが、一度仕事を辞めてしまうと、再就職が難しくなったり、新たに就職できたとしても以前より収入が減ってしまったりする可能性が出てきます。今後の生活を見据えていく上で、収入面での不安を軽減できることは大きなメリットだと言えそうです。
また、在宅で介護中心の生活をしていると、自分の自由にできる時間を確保できなくなるケースも考えられます。
遠距離介護では、介護をする時間、自分自身の生活に戻る時間といったように、時間の切り替えがしやすくなることも長所に挙げられます。その上、介護の心配ごとを現場から離れた場所で家族に相談できることも、精神的な負担軽減につながるといえるかもしれません。
遠距離介護のメリットとデメリット
デメリットとしては、新幹線代や飛行機代など、帰省時の交通費がかさむことが挙げられます。当然のことながら、往復回数が増えるほど交通費も高額になります。できるだけ費用を抑えるためにも、航空会社や鉄道会社が実施している割引サービスなどを活用すると良いでしょう。
また、親の体調が悪くなってしまったときに、すぐに駆け付けることができないことも懸念点の一つです。日頃から本人とこまめに連絡を取り合い、心身の状態を確認しておく必要があります。さらにケアマネージャーともコミュニケーションを密にしておき、緊急事態に備えて協力体制を整えておくと良いでしょう。
遠距離介護をするときの事前準備
メリットやデメリットを把握した上で、いざ遠距離介護を行うと決めた際には下記のようなポイントを事前に確認しておくとよりスムーズに進行させることができます。ぜひ参考にしてみてください。
・介護に関する希望を聞く
相手の気持ちを確認することは、介護をする上で大切なポイントの一つです。
今後の生活でやってほしいこと、あるいはやってはいけないこと、健康状態のことなど、本人が不安に思っていることはいくつかあるはずです。あらかじめそれを聞き出しておくと、それに沿うような適切な介護をスタートさせられるでしょう。
・生活パターンや人間関係について把握する
たとえば毎日の食事の内容や、外出状況などについても把握しておきましょう。
特に趣味や楽しみにしていることは、心身の健康を保つためにも大切です。そして人間関係も確認しておきましょう。もし近所に仲良しの方がいるのでいれば、万が一の事態が起きた際にその人と連絡を取り合うこともできるため安心です。
・資産状況を把握する
親の貯蓄金がどのくらいあるのかを把握することで、介護の方向性を決めることができます。
親の貯蓄金を知らずに自分の貯蓄金を介護に充ててしまい、その後トラブルが発生するケースも少なくありません。親が元気でいるうちに、資産について話し合っておくようにしましょう。
・介護休暇や介護休業制度を調べておく
介護の場合、条件を満たしていれば介護休暇や介護休業制度を利用することができます。これはすべての労働者が取得できるものであり、基本的には就業規則に記載されています。勤務先の方々にも介護状況を伝えておくと、より話を進めやすくなるでしょう。
・住宅改修を検討する
介護に対応できる家なのかどうか、予めチェックしておくことも大切です。
たとえば段差がある場所に手すりがあるか、玄関にスロープは設置されているかなどを確認し、必要に応じて住宅改修を行いましょう。
また、住宅改修の給付対象者には介護保険が適用されるため、事前に調べておくことをおすすめします。
まとめ
元気に過ごしていても、病気やケガなどをきっかけにして急に介護が必要になることもあります。万が一に備えて、親とは普段からしっかりコミュニケーションを取っておきましょう。そうすれば、遠距離介護を始める際にも双方の精神的な負担を減らすことができます。
とはいえ、介護者本人の体調などによって状況が大きく変わることもあるため、介護について熟知しているプロに相談できる環境を整えておくことも事前準備の一つといえます。東海市で遠距離介護を検討している方、介護に関するお悩みのある方は、東海レーベンのケアマネージャーにまでお気軽にご相談ください。