認知症による症状の一つ「徘徊」を正しく理解しましょう

介護の現場で「徘徊」という言葉を耳にすることがありますが、認知症患者の介護をしている家族や介護者の中にはこのような症状が出始めたとき、どのような対応をすれば良いか分からず困惑することがあるかもしれません。 

近年の日本では、認知症による徘徊で行方不明になってしまったり、無事に保護されても身元が分からない状況に陥ったりするケースが増えてきており、大きな社会問題ともなっています。 

まずは徘徊がどのような症状であるのかを理解し、その予防方法や徘徊が起こったときの具体的な対処法も知っておくことが大切です。 

徘徊の危険性とは 

そもそも徘徊とは、昼夜問わず目的もなく歩き回っている状態のことをいいます。これは認知症の症状の一つである「行動・心理症状(BPSD)」から起こるもので、一度屋外に出たものの、認知機能の低下から時間や今いる場所が分からなくなり、結果としてさまよってしまうのです。 

周囲の人がすぐに気がついて対処できれば良いのですが、たとえば深夜に徘徊をされると気づくタイミングが遅くなりがちで、その結果、行方不明となる恐れも。さらには長時間歩き続けることで転倒してケガをすることや、車や電車などとの接触事故に遭ってしまうことなども考えられます。 

それだけでなく、夏場であれば熱中症や脱水症状になったり、冬場は低体温症を患ったりなどのリスクがあることも否定できません。 

このような危険な状況を回避するためにも、家族や介護者が日ごろから注意深く見守っていく必要があります。 

認知症患者が徘徊することの背景 

周囲の人からすると、認知症の方が徘徊している様子は目的もなくただ歩き回っているように見えるかもしれません。しかし、実際には目的があることがほとんどです。 

「トイレに行きたい」「何か飲み物を飲みたい」などの身体的な理由のほか、「子どもを迎えに行く」などかつて習慣だったことを唐突に思い立って行動した結果なのかもしれません。 

また、認知症は精神的にストレスがかかりやすい病気です。そのため不安や焦燥感がきっかけになっている可能性も考えられます。 

このような背景から「徘徊」という本来の言葉の意味と実態は異なっている部分があるという議論もされており、近年では「ひとり歩き」や「外出」など、別の言葉に言い換えているケースもあります。 

認知症の方への誤解や偏見を招くことがないように、そうした言葉の認識違いに配慮するだけでなく、本人や家族の気持ちを尊重しながら警察と地域の人が連携を取れるような仕組みづくりをしている自治体もあります。 

認知症による徘徊は予防できる?家族のサポート方法とは? 

認知症による徘徊は、本人を観察していると原因が分かる傾向です。 

たとえばトイレに行くことが理由の徘徊であれば、毎食後や寝る前にはトイレを済ますようにサポートすることで改善される場合もあります。 

十分な睡眠ができていないように感じるのであれば、昼夜逆転を防ぐために、日中は一緒に散歩するなどの運動をすることもポイントの一つです。適度な疲労感で夜にぐっすり眠れるよう、規則正しい生活を意識させましょう。 

また、徘徊するときの行動パターンは決まっているケースが多いため、本人が習慣にしていることやよく行く場所などを事前に把握しておくと素早く対処できるようになります。 

ただ、癖や行動を把握していても、一日中観察し続けるわけにはいきません。 

そのためもしものことが起きたときにすぐに身元が分かるよう、服や身につけている物に名前を書いておいたり、自宅の玄関へ感知センサーを設置しておいたりするとより安心です。 

まとめ 

認知症の方は、何も分からないままただ歩き回っているわけではありません。身体的なことや、周りの環境、精神的なことなどさまざまな理由から行動しているのです。 

本人や介護者側がお互いに安心して生活していくためには、その背景にあることは何なのか、理解を深めていくことが予防や対処につながっていきます。 

ただ、常に目配り気配りしながら日々を過ごしていると、介護側が先に疲弊してしまう恐れもあります。そうならないためには、介護のプロに相談することも一つの方法です。 

東海市にある東海レーベンでは、認知症による徘徊をはじめ、認知症患者に見られる症状やその対処法について熟知したスタッフが揃っています。介護に関する疑問やお悩みがある方は、ぜひお早めにご相談ください。 

 

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