高齢者の整容(身だしなみ)について
整容とは、洗顔や歯磨きなどを行い、身だしなみを整えることです。
ベッドや室内で過ごされることが多い要介護者の方は、他者との接触の機会が減り、整容が疎かになりやすい環境にあります。
中には年齢などを理由に、身なりを整えることに消極的な方もいます。
しかし、整容は皮膚や粘膜を清潔に保つために必要であり、新陳代謝の促進や感染症の予防などに貢献しています。
さらに爽快感を得られ気持ちが前向きになり、意欲の向上につながります。
本記事では整容の介助を行う際のポイントや手順についてご紹介します。
整容の介助が必要な場合にご参考になれば幸いです。
整容の介助を行う際の注意点・ポイント
加齢などによって身体的な問題を抱えた方は、以前普通にできたことができなくなると自信を喪失する可能性があります。
しかし整容のような日常的な動作をできるだけ自分で行うことが自信やリハビリにつながります。
まずはそれぞれの身体的特徴に合わせて開発された介護用品などを導入して、自分で整容を行いやすくする工夫が必要です。
介助者は基本的に要介護者を見守り、一人でできないことや危険と判断した際にサポートをしましょう。
また整容はとてもプライベートな行為であるため、プライバシーに配慮し、安全にサポートを行える環境を確保しましょう。
整容の実践
・洗顔
洗面所で顔を洗う場合は立位がとれる方でも、腰をかがめたときに不安定になることがあります。
バランスを崩しやすい方が立ったまま洗顔を行う場合は介助者がしっかりと支えましょう。
または無理せずに椅子に座って行うことを勧めましょう。
蒸しタオルによる清拭を介助者が手伝う場合は以下の点に注意します。
・額→目→鼻→頬→顎の順に力を入れすぎず、声をかけながら拭く。
・特に目やにを取るときは目頭から目尻にかけてそっと拭く。
・目やにが固まっているときはしばらく蒸しタオルを当ててふやかしてから取る。
・皮脂が溜まりやすい小鼻や耳の後ろも拭く。
・整髪
鏡を前にして髪の毛をとかし、ご本人の好みの髪形に仕上げます。
絡まった髪の毛は無理に引っ張らず、お湯を含ませたガーゼやヘアオイルなどで優しくほぐしましょう。
介護用のヘアブラシにはさまざまな形状があります。
例えば、手や指が頭部まで上がらない方には長柄ブラシがおすすめです。
柄を握る力が弱い方には太柄のブラシ、手や指でブラシを握るのが難しい方には、手に固定して使うホルダーつきブラシがあります。
ご本人が行うことを大切にするために、その方にあった用具選びをしましょう。
・口腔ケア
口腔ケアとは歯垢や舌の汚れの除去を行い、口腔内を清潔に保つためのお手入れです。
加齢による咀嚼力の低下などで唾液の分泌量が減り、自浄作用の働きが弱まると口腔内に雑菌が繁殖しやすくなり、歯周病や肺炎などの感染症のリスクが高まります。
口腔ケアは病気の予防や口腔機能向上などのためにとても大切です。
立位で行う場合は背中がまっすぐになるように支えましょう。
ベッド上で行う場合は少なくとも上体を30度以上起こし、誤嚥の防止に努めましょう。
また、歯ブラシによる出血を起こしやすい方や口腔内の乾燥が進行している方には湿らせた綿棒やガーゼ、口腔ケア用スポンジを使ってケアをしましょう。
・爪のお手入れ
爪切りは入浴後または蒸しタオルで温めた後、爪が柔らかくなったときに行うのが良いです。
ご本人が爪切りを扱うと出血や深爪のリスクがある場合は、介助が必要になります。
痛くないか確認しながら少しずつ切り、最後に爪やすりで整えましょう。
爪があまり伸びていない場合は爪やすりで整えるだけで結構です。
また最近はネイルを楽しむシニア世代も増えており、ネイルの出張サービスなども拡充しています。
爪や皮膚の状態に異常がなく、ご本人の希望があればやってみましょう。
・髭剃りやメイク
ご本人が自分で仕上がりのイメージを考えて、それを実行に移すのを見守りましょう。
難しい場合はご本人と相談しながら手伝いましょう。
髭剃りを行った後、またはメイクを行う前には化粧水などで保湿し、肌の調子を整えることが大切です。
髭剃りやメイクはいずれもその人らしさや社交性を引き出します。
また自己肯定感を高め、抑うつ症状の改善などにも期待ができます。
まとめ
整容は身体の清潔を維持するだけでなく爽快感や自信の獲得など、心に与える影響が大きいと言えます。
要介護者自らの意思や実行力を尊重し、介助者はさりげなく手を差し伸べる存在であることが大切です。
なるべく自分で整容を行えるように個人に合わせて用具を選びましょう。
私たち株式会社東海レーベンは、一人ひとりに寄り添い、細かな対応ができる介護サービスを心掛けております。
東海市において介護生活にお困りのことがありましたら是非一度ご相談ください。