高齢者のフレイルについて
厚労省によれば、日本人の男性の平均寿命は80.21歳、女性は86.61歳です。
2025年には4人に1人が75歳以上の後期高齢者になり、世界一の超高齢社会を迎えます。
人間は年齢を重ねると、体力がだんだんと弱くなります。
外に出かける機会も減りますし、病気にならないにしても補助や介護が必要になっていきます。
事実、80歳未満の要支援・要介護率が14%なのに比べ、80歳以上だと約30%、85歳以上は60%超となります。
健康寿命が、男性が71.19歳、女性74.21歳と言われる中、フレイル(虚弱・老化)予防の重要性が見直されています。
フレイルとは?
フレイルとは「Frail」のことで、「虚弱な、病弱な」を意味する英語の形容詞です。
海外の老年医学の分野で用いられている「Frailty(フレイルティ)」が語源になっていて、虚弱や老衰の意です。
加齢とともに、体や心の機能が弱まっていく状態をフレイルと呼びます。
ちょうど健康な状態と、要介護状態の中間にあたります。
フレイルの徴候
- 疲れやすい
週に3〜4回以上体が疲れやすくなったり、何か行動することを億劫に思う傾向が強いです。
心肺機能の低下だったり、心の病などが原因のこともありますが、多剤服用(ポリファーマシー)により影響を受ける場合もあります。
6種類以上の薬を服用する際は必ず主治医にご相談ください。
●歩く速度が遅い
フレイル高齢者の代表的な特徴です。
人の老いの状態を総合的に反映していると言っても過言ではありません。
通常の歩行速度が1.0m/秒未満ならフレイル状態です。
●筋力の低下
加齢に伴う生物学的変化の一種です。
筋肉を使わない習慣、栄養不足や病気・薬の影響による衰えもあります。
筋力や筋肉量の低下がフレイルの特徴ですが、サルコペニアとも呼ばれています。
握力が下がるのも特徴で、男性28kg、女性18kg未満になります。
●体重の減少
高齢者の体重減少は、悪性腫瘍や消耗性疾患が隠れていることがあるので、注意すべきです。
もし半年の間に意図せず5%を超える体重減少があるなら、精密検査をしてもらいましょう。
●活動性が下がる
抑うつや意欲低下、新型コロナのような想定外の外出自粛や、引越し・退職など大きな社会的環境の変化があったりすると、活動量全体が下がります。
活動機会が減って、人付き合いを面倒に感じるようになったら黄信号のサインです。
上記5つのうち3つ以上に該当すると「フレイル」、1〜2つ当てはまると「プレフレイル」と考えます。
最近動くと息切れしやすい、以前より疲れやすい、近頃痩せてきた、外出が面倒に思える、などの症状が出できたら要注意です。
フレイルの流れは、下記の通りとなります。
健康 → プレ・フレイル(前虚弱) → フレイル(虚弱) → 要介護(身体機能障害)
フレイルには3つの要素があるため、下記にて説明をしていきます。
●フィジカル・フレイル(身体の虚弱) : 骨・関節・筋肉などが衰弱
●メンタル/コグニティブ・フレイル(こころ/認知の虚弱): うつ病、認知機能の低下など
●ソーシャル・フレイル(社会性の虚弱): 孤食・閉じこもりなど
フレイル状態になると、身体能力が低下したり、死亡率も上昇し危険と言えるでしょう。
また、病気にかかりやすくなったり入院したりして、ストレス耐性がなくなってしまいます。
風邪をこじらせると肺炎を引き起こしたり、転倒して骨折や打撲をしたりするかもしれません。
フレイル状態から寝たきりになる恐れもあります。
フレイルの予防方法
●栄誉バランス
フレイルとサルコペニアは低栄養と大きく関わっていると言われています。
高齢期のBMI(身長と体重の関係から肥満度を示す体格の指標)は、メタボ対策が主な中年期より高めにした方が、総死亡率や栄養状態からも好ましいことが実証されています。
規則正しくしっかり食べて栄養状態を保つ「フレイル」予防を心がけましょう。
●運動
フレイルの最大原因は筋肉の衰えなので、タンパク質をしっかり摂って、適度な運動で筋肉を整えましょう。
短時間でもいいので継続することが大事です。
ウォーキングや軽い筋トレがおすすめです。
●口腔ケア
噛む/飲み込む機能や、食べこぼしが多かったり、滑舌が低下したりと、口腔機能が低下するオーラルフレイルが起こりやすくなりがちです。
食べ物や飲み物が気管に入って、むせたり詰まったりする誤嚥などの問題点にも十分注意しましょう。
定期的に歯科検診を受けて、口腔の予防を心がけてください。適度に噛みごたえのある食品を選んで、よく咀嚼して食事をしましょう。
●社会活動に参加
社会とのつながりを失うことがフレイルにつながりやすいと考えられています。
趣味のクラブに入会したり、地域ボランティアに参加したりしてもいいでしょう。
友人たちと食事や会話を楽しむ機会をぜひ作ってください。
●早めの対策が必要
プレ・フレイル(前虚弱)の徴候を早い段階で気づくことが重要です。
早く対策を実施すれば、元の健常な状態に戻れる可能性があります。
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