高齢者の変形性関節症

変形性関節症の患者数は、年齢に比例して増加します。 

60歳以上の人口の8割以上で何らかの変形性関節症の所見が見られるとの報告があります。 

 

変形性関節症とは? 

様々な原因により徐々に関節が変形し、関節の痛みや腫れが生じた状態です 

関節表面の軟骨がすり減るうえ、関節内部を裏打ちする滑膜(かつまく)に炎症が起きて、次第に関節周りの骨が変形します。 

変形は数年〜数十年で進行し、最終的に関節の動きが制限され、生活に支障が出るようになります。 

 

発症部位 

背骨や手足など全身のあらゆる関節で発症しますが、主な部位は次のとおりです 

  1. 変形性膝関節症65歳以上55%患者1000万〜3000万人、女性が2倍近く多い 
  1. 変形性股関節症患者120万〜510万人、9割が女性 
  1. 腰椎 
  1. 肘関節 

 

共通の症状 

関節周囲の痛み腫れ、引っかかり感、違和感 

    ・関節の変形痛みなし 

  ・関節液がたまる/熱を持つ … 炎症症状が強い場合 

 

発症部位⑴〜⑶ は、症状が進行すると、最終的に生活困難の恐れがあります。 

 

関節の変形が進行する原因 

  1. 加齢による変化 
  1. 機械的刺激 … 労働、運動/スポーツ、ケガ、体重増加 
  1. 感染症による炎症の刺激 
  1. 遺伝的素因 

 

変形性関節症は時間とともに進行します。 

関節はいったん変形すると元に戻せないので、早めの対策が必要です。 

変形性関節症の診断 

診察は以下の手順で実施します。 

類似疾患との鑑別も併せて行われます 

 

  1. 問診病歴/家族歴、発症までの経緯、過去のケガ、体重変化の有無 
  1. 身体所見:関節の診察を実施、関節液を検査することも 
  1. 画像検査:レントゲン検査、必要に応じてCT検査/MRI検査 
  1. 血液検査:関節リウマチなどの可能性が考えられる場合に実施 

 

【変形性関節症と似ている病気】 

  1. 関節リウマチ 

・安静時にも痛みがある 

・症状が両側性である 

・画像検査で骨のびらんがある 

  1. 結晶性関節炎(痛風、偽痛風など) 

・炎症性変化が主体である 

治療により症状は約1週間でおさまる 

・関節液の中に結晶がある 

  1. 化膿性関節炎 

・関節液の中に細菌が存在 

  1. 外傷(靭帯損傷など)、骨壊死 

・MRI画像検査で特徴的な所見がある 

 

変形性関節症の治療 

すり減った軟骨や、変形した関節は元に戻せません。 

治療の主な目的は、すでに生じた痛みや変形に対する対症療法と、関節機能を維持するための予防療法の2つです。 

具体的な治療手法は、「手術療法と手術によらない保存療法2つに大別されます。 

 

変形性関節症の手術療法】 

年齢、活動量、関節の状態を総合的に考慮してどの手術を行うかを判断します。 

手術の効果を最大限引き出すため、施術後数週間〜数ヶ月間、十分リハビリを行う必要があります。 

 

  1. 骨切り術 

変形した関節の周囲の骨にアプローチして関節の角度を変えます。 

  1. 人工関節置換術 

     変形した関節を切除して金属製の関節に置き換えます。 

 

【変形性関節症の保存療法】 

  1. 運動療法 

関節の機能を維持するため、関節周りの柔軟性と、筋力維持の必要があります。 

関節に負担をかけない程度で、関節周囲のストレッチ運動および筋力トレーニングを実施します。 

  1. 装具療法 

変形により不安定になった関節の補強や、変形による関節への負担の抑制を目的にして、装具を使用することもあります。 

特に、膝関節の場合はO脚変形対策として足底装具(靴中に入れる)をよく使用します。 

  1. 薬物療法 

内服薬や外用薬(湿布など)は炎症を抑えて痛みを取るのに効果があります。 

  1. 関節注射 

膝関節の場合、関節内にヒアルロン酸注射を行うことがあります。 

  1. 物理療法 

ホットパック、超音波治療、電気治療などを用いた温熱療法も、痛みに効果的です。 

 

診断後の注意点 

症状の悪化を予防するため、関節に余計な負荷をかけないよう、またできるだけ関節の機能を維持できるよう、日常生活を送る際に気をつけましょう。 

 

【気をつけるべき生活習慣】 

  1. 運動 

階段の昇降や長距離歩行など、無理な運動は症状を悪化させるので控えましょう 

痛みが強い場合は安静にして関節に負荷がかからないようにします。 

 

症状が軽い時はストレッチ運動を心がけて、関節周囲の筋肉の柔軟性と関節の可動域を保ちましょう。 

 

  1. 体重管理 

肥満の人は減量すると変形性膝関節症や変形性股関節症の症状がよくなります 

普段から意識して体重管理を行いましょう。 

  1. 冷え対策 

関節を冷やすと痛みが強くなる傾向があります。 

温かくして血行をよくするようにしましょう 

 

  1. 洋式の生活 

畳での寝起き、正座、和式トイレなど日本式の生活は股関節や膝関節に負担がかかります。 

これを機にベッド/椅子/洋式トイレなど洋式の生活に切り替えましょう 

 

  1. 杖の利用 

変形性膝関節症や股関節症の場合、痛みが強い関節と反対側の手で杖をつくことで、歩行時に関節へかかる負担を軽減できます。 

 

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