高齢者が「食べてくれない」原因と食事介助の5つのコツ

高齢の家族が食事を拒むと、なぜ食べてくれないのか分からず、対応に迷う方もいるでしょう。

その背景には、姿勢の崩れや口の中の痛み、食事を認識しにくい状態、体調不良などが隠れている場合もあります。単なる「わがまま」と決めつけず、本人の状態や食事環境に目を向けてみることが大切です。

今回は、高齢者が食べない原因と、家庭で実践できる食事介助の5つのコツをご紹介します。

高齢者が「食べない」主な原因とその背景

食事量が減る背景は一つとは限りません。

まずは身体や口腔内、周囲の環境を確認してみましょう。

姿勢の崩れや身体機能の低下

筋力が低下すると、食事中に体が傾いたり、椅子に座ったお尻が前へ滑ったりして姿勢が崩れやすくなります。

不安定な体勢は食べにくさや疲れの原因となり、食事を続けにくくなる場合があります。

また、あごが上がった姿勢では飲み込みにくくなる場合があるため、首の角度にも注意が必要です。

食事の見え方や周囲の環境

認知機能の変化により、料理を食べ物として認識できなかったり、食べ方が分からなくなったりするケースがあります。

食べ物と食器を見分けにくそうにしていたら、色の差が分かりやすい器を試すのも一案です。

また、テレビや食卓上の物に気を取られていないかも確認してみてください。

義歯の不具合や口腔内のトラブル

口を開けたがらない、硬い物を避けるといった変化は、義歯の不具合や虫歯、口内炎、口の乾燥などによる痛みや不快感を示している場合があります。

無理に食べさせるのではなく、口の中や義歯の状態を確認しましょう。

状況を観察して原因を見極めるための視点

食べた量や食事中の様子など、普段との違いを記録すると原因を探る際や専門職への相談時にも役立ちます。

ご家庭で確認できるポイントとしては、食事中に以下をチェックしてみてください。

  • 体が左右へ傾く
  • お尻が前へ滑るなど姿勢の崩れがある
  • どの料理で手が止まるか
  • 周囲の音に気を取られていないか
  • 食事時間はどのくらいか

例えば同じような場面で食事が止まる場合、それが原因を探る手がかりになります。

専門職への相談が必要なケース

義歯の痛みや虫歯、口内炎が疑われる場合は歯科医師へ相談しましょう。

せき込みや湿った声、口に食べ物が残るといった状態は、うまく飲み込めていない可能性があります。

また、むせや体重減少、発熱を繰り返す場合は早めに医療機関を受診してください。

そして食事の硬さやとろみ、姿勢は本人の状態に合わせた調整が必要です。自己判断で変えず、医師や言語聴覚士、管理栄養士などに確認するとよいでしょう。

高齢者が食べない原因に対応する食事介助の5つのコツ

原因の手がかりをつかんだら、環境と介助方法を見直しましょう。

以下で紹介する5つのコツを参考にしてみてください。

コツ①:あごを引いた安定した姿勢を整える

椅子に座れる場合は足裏を床や台につけ、体が傾かないように調整します。テーブルは腕を置ける高さにし、あごが上がらない姿勢を保ちましょう。

ベッド上での適切な角度は、本人の身体機能や嚥下機能によって異なります。不安がある場合は、医師や歯科医師、言語聴覚士や看護師などに確認してもらいましょう。

コツ②:集中できる視界と環境をつくる

テレビを消し、食卓から不要な物を片付けることからはじめます。

そして料理を見せながら献立を伝え、何を食べるのか分かるようにしましょう。

介助者は座って目線を合わせ、本人から見える正面の位置からスプーンをゆっくりと口元へ運んでください。

コツ③:食前に口の中の状態を確認する

口の中に汚れや食べかす、傷、乾燥がないかを確かめ、必要に応じて歯みがきや口腔用ウェットティッシュで清潔にします。

義歯のずれや痛みも確認しましょう。

そして食事を始めると伝え、スプーンを見せた上で待たせます。反応がないときは、無理に口へ入れず、声かけをしながら様子を確認してください。

コツ④:一口を控えめにして飲み込みを確認する

一口の量は少なめから始めて、口の動きに合わせて調整します。

口唇が閉じたらスプーンをゆっくり引き、飲み込んでから次へ進みましょう。

むせた場合は介助を止めて、呼吸や声の状態を確かめます。

コツ⑤:穏やかな声かけと工夫で意欲を支える

「次はおみそ汁ですよ」など、短く具体的に声をかけます。

ただし、口に食べ物が入っている間は返事を求めず、飲み込みを待ちましょう。

また、好みの料理を取り入れ、食べられる量を少しずつ盛り付ける方法もあります。完食を迫らず、本人の体調や意思を尊重しましょう。

まとめ

高齢者が食べない背景には、姿勢の崩れや認知機能の変化、義歯の不具合、病気などさまざまな原因が考えられます。まずは食事中の様子を観察し、本人に合った環境や介助方法を探りましょう。

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